「強い人事」となって自社や社会に有益な施策を推進する

 そういう中、一念発起して「ブルーオーシャン採用」に着手しようとすると、その採用が良かったという結果が出るまでに長い時間がかかることとなりますから、それまでは彼らの「持論」と闘う「強い人事」にならなければなりません。そのために必要なのが、先ほどから述べている科学の力、「原理・原則」の力です。

 幸い、グローバル化の後押しで海外の行動科学をもとにした人事事例なども日本に入ってきています。私のクライアントでも、心理学をきちんと学んだ大学院生などを人事担当者として採用しようとしている先進的な考えの会社もあります。

 私は教育学部教育心理学科出身ですが、心理学等を学んだ同窓生たちが、積極的に企業人事の仕事に進もうとしている傾向が増加しているのも感じています。

 人事担当者が、心理学などの科学的な手法を学び、適切に実践していくことができれば、企業は人や組織の「原理・原則」に基づいて運営され、その可能性を最も引き出す場になるでしょう。

 このように、「持論」ではなく「理論」を持って考え、行動する、新しい時代の変化に対応できる「強い人事部」「強い人事担当者」を作ることが、企業にとっても、その中で働く個人にとっても幸せな社会を作ることにつながる。私はそう強く感じています。