特急「踊り子号」185系が引退へ、惜別の旅で知った伊豆箱根鉄道の深い歴史特急踊り子号185系の車内風景 Photo by S.W.

 惜別の旅ではあるが、往路は修善寺まで185系に乗車したものの、復路はこの伊豆箱根鉄道・駿豆線を楽しみながら、三島に出て再度185系「踊り子」で帰京することとしよう。朝湯を楽しみ、まだ身体がポカポカしている状態で、私は修善寺駅に立った。

 以前は、壁面をガラス張りにした箱型の、ともするとやや味気ない駅舎だったが、2014(平成26)年に所在地である伊豆市の都市再生整備計画と伊豆箱根鉄道の共同事業として、現在のモダンでありながらも故郷を感じられる素敵な駅舎に建て替えられた。

 駿豆線には、「旅助け」というお得な1日フリー切符もあるが、ローカル線の救済を目的として乗車するので、ここはあえて普通乗車券で廻っていこう。

「江ノ電」と見間違えるほど
車両カラーが似ているワケ

江ノ電と見まがうカラーの3000系電車江ノ電と見まちがうカラーの3000系電車 Photo by S.W.
鋼製車体の3000系電車鋼製車体の3000系電車 Photo by S.W.

 とりあえず、伊豆長岡まで280円区間の乗車券を購入し、ホームに入った。停車中の電車を見ると「あれ?江ノ電?」と見間違うほど、江ノ電とほぼ同じ塗色の3000系電車が在線していた。何でも、1963(昭和38)年まで、現在の三島田町駅と当時の国鉄沼津駅前を結んでいた伊豆箱根鉄道軌道線(路面電車)の車両をイメージしたカラーとのことだが、途中で乗車して来た中学生も「きょうは江ノ電だ」と言っていたので、沿線の利用者も江ノ電カラーと捉えているようだ。

 この3000系は、当時の駿豆線を走る他社からの譲渡車両たちの近代化を図るために、1979(昭和59)年より順次製造され、現在は全6編成18両と、駿豆線の大勢を占めている。さて列車は修善寺を出発し、お隣の無人駅・牧之郷(まきのこう)に到着する。

 正直、この駅には何もない……。いや、1つだけある。それは駅前にある、何ともノスタルジックな「初子屋酒店」という戦争前後に建てられたと思われる店舗だ。この店舗と電車の写真を撮ろうと、私は今まで何度かチャレンジしたが、いまだ納得できる画が撮れていない。ぜひ、皆様にも挑戦してもらいたいところである。

 それ以外では、車両の側ドアの上に掲示されている沿線路線図の牧之郷(まきのこう)駅の近くに、虹の郷(にじのさと)という施設が描かれているが、こちらは実際には、修善寺駅から路線バスを利用して30分弱のところにある花と緑の公園施設だ。

 しかし、園内には15インチゲージのロムニー鉄道という路線が走っており、これは鉄道愛好家としてはぜひ一度は乗っていただきたい路線である。客車を蒸気機関車かディーゼル機関車で牽引する客車列車だが、車両も軌道も本物である。