ナワリヌイの名を全世界に轟かせたのは、一本の動画だった。

 2017年3月に投稿した「オン・ヴァム・ニ・ディモン」は、メドベージェフ(当時首相)が複数の超巨大別荘を所有していることを暴露している。

 ロシア語がわからなくても、「別荘の巨大さ」は理解できるので、一見することをお勧めしたい。

 この動画の再生回数は、4200万回を超えた。ロシア語の動画なので、見たのはほとんどロシア人だろう。

 この国の人口は約1億4600万人なので、ロシア人の「約3.4人に1人」が見たことになる。それで、「真相究明」を求める大規模デモが、ロシア全土で起こった。

 ロシア政府は、デモ参加者の要求を、徹底的に無視し続けることで、この危機を乗り切った。しかし、国民の多くが深く幻滅したことは間違いない。

 クレムリンはこの件で、「ネットメディアのパワー」を実感したのだろう。以後、ネット規制がどんどん厳しくなっていった。

 この流れを見ると、ナワリヌイは、「プーチン最大の敵」といえる。日本ではあまり知られていないが、欧州では非常に有名な人物だ。

機内で意識不明となりドイツに搬送
ナワリヌイ毒殺未遂事件

 昨年8月20日、「ナワリヌイ毒殺未遂事件」が起こった。

 ナワリヌイはこの日、旅客機で西シベリアの都市トムスクからモスクワに向かっていた。途中、彼が意識不明になったため、飛行機はオムスクに緊急着陸。救急車で病院に運ばれた。

 ナワリヌイの妻ユリヤは、「ロシアの病院にいると殺される」と恐れ、ドイツでの治療求めた。8月22日朝、彼は、オムスクの病院から、ドイツのベルリンに搬送された。飛行機は、ドイツのNGO「シネマ・フォー・ピース財団」が手配した。

 ドイツでの検査の結果、ナワリヌイ毒殺未遂に使われたのは、神経剤ノビチョクであることが判明。その後、フランス、スウェーデンでの検査でも、同様の結果が出た。