ノビチョクとは、ソ連が開発した化学兵器で軍事用神経剤だ。2018年、ロシアの元二重スパイ・スクリパリと娘のユリヤ殺人未遂事件の際にも使用され全世界に衝撃を与えた。

ナワリヌイが
「毒殺未遂実行犯」を暴露

 ナワリヌイは2020年12月14日、「Дело раскрыто. Я знаю всех, кто пытался меня убить」(事件は解決された。私は、私を殺そうとしたすべての人を知っている)という動画を公開した。

 現在までに約2400万人(ロシア人の約6人に1人)が見ている。この動画の中で、ナワリヌイは、実行犯8人の名前と写真を公開した。そして、「このグループに殺人の命令を出しているのは、プーチン大統領だ」と断言している。

 動画の中で明らかにされているが、犯人捜しをしたのは、ナワリヌイ自身ではない。Bellingcat(ベリングキャット)という団体だ。

 ベリングキャットは2014年、イギリスで設立された。ファクトチェックとオープンソースインテリジェンスを専門にしている。最近では、スクリパリ事件(2018年3月)の実行犯を特定したことで知名度をあげた。

 そのベリングキャットがナワリヌイに連絡をとり、「君を殺そうとした人たちを見つけた」と話したという。この調査結果は、ドイツの週刊誌「デア・シュピーゲル」、スペインの日刊紙「エル・パイス」、アメリカ「CNN」でも検証され、公開された。

 調査の結果、何がわかったのか?

◎8人のFSB諜報員が、3年間ナワリヌイの尾行をつづけていた(動画内で、8人の実名と顔写真が公開されている)。
◎8人の人物は皆、「化学」あるいは「医学」の教育をうけており、「ただの尾行」ではない。
◎彼らは、「シグナル科学センター」から、化学兵器を受け取り、ナワリヌイ暗殺を試みた。
◎8人のグループが、3年間ナワリヌイを追い続けた。これが、ボルトニコフFSB局長の許可なしで行われることはない。
◎そして、ボルトニコフFSB局長が、プーチンの許可なしで、この作戦を指示することはありえない。
◎よって、毒殺指令を出したのは、「プーチン自身」である。

 以上のような論理構成になっている。