2月7日、東京五輪組織委は公式サイトに「東京2020大会と男女共同参画(ジェンダーの平等)について」と題する声明を掲載し「森会長の発言はオリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切なものであり、会長自身も発言を撤回し、深くお詫びと反省の意を表明致しました」と発表し、このまま幕引きを図る方向のようだ。
しかし、コロナ禍での東京五輪開催を実現するためには、人々の心に寄り添った組織委のあり方を見せなければならないのではないか?これまで次第に乖離してきたオリンピック主催者と本当の意味で主催者である都民・国民の間を埋めなければならない。
今こそ、森氏の組織委での貢献を無にしないためにも、潔く退く道を作ることこそ恩義に報いることであろう。でなければ無報酬で大会を支える人々が離れていくことが懸念される。ボランティアにとって重要なのは、大会開催の意義を信じられることだ。
森氏は無報酬で会長職にあったという。森氏に恩義あるものは無報酬で彼の花道を用意すべきである。
「当初から仕事だとは思ってないが、84年間、自分に与えられた最後の仕事として、まさに天命だと思って、まさに天命に尽くすという気持ちで最後まで頑張っていきたい」というのは、年頭挨拶で組織委の職員に森会長が語った言葉である。森氏には『読史管見』の「人事を尽くして天命に聴(まか)す」という格言が念頭にあったと思う。しかし人事を尽くすことが忘却されていた。
今こそ、森会長は自らの人事を尽くして、天の声を待たなければならない。今回の人事を尽くすとは、身を引くということであると思う。東京オリンピック・パラリンピックを愛するのであれば。