温暖化が進む世界では、ダウンヒルスキーは一段と珍しいものになるかもしれない。米気象学会誌ジャーナル・オブ・クライメートに掲載された2016年の研究と連邦政府が資金提供している北米地域気候変動評価プログラム(NARCCAP)のデータによると、米国では今世紀半ばまでに、氷点下の日数が毎年90日少なくなる可能性がある。また、米環境保護局(EPA)が資金提供した2017年の研究によると、米国のほぼ全てのスキー場で2050年までにシーズンが少なくとも50%短くなる見通しだ。この研究は気候変動に関する科学誌グローバル・エンバイロメンタル・チェンジに掲載された。
気温の上昇はゲレンデの雪の確保を難しくし、スキー場の収入を減少させる。米環境保護団体のプロテクト・アワ・ウインター(POW)と自然資源防衛協議会(NRDC)の委託で行われた2012年の分析によると、降雪量の少なかった1999年~2010年はスキー場の収入が既に推定10億ドル(約1054億円)減っている。
スキー場では現在、氷点下になるとすぐに毎日24時間、人工降雪機を稼働させ、衛星利用測位システム(GPS)ガイド付きの雪上車をゲレンデに送り込んで積雪を分散させている。製雪技術は急速に進歩しており、天候の不安定さによる負担の一部を軽減できる可能性がある。また、スキーリゾートは1年中観光地として利用され、多くのアクティビティーを提供するようになっていることから、冬場のスキーはさほど重要視されなくなるかもしれない。さらに気候変動はスキー場にとって、よりクリーンなエネルギー源に切り替えることで二酸化炭素(CO2)排出量を削減できる機会をもたらしている。
自動運転式雪上車から太陽光発電による施設まで、スキー場が今後数年でどうなるかを予想した。