――筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト
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最近の経験や金融業界の言い伝えから、市場のバブル崩壊は経済的破壊をもたらすという印象を与えるが、必ずしもそうではない。このところ電気自動車(EV)やクリーン電力、大麻といった「ストーリー銘柄」が過熱しており、そうした銘柄を保有する投資家の富に脅威を与えるのは間違いない。だがそれ以上にバブルが広がっているとしても、米経済全体を揺るがす大惨事にはならないかもしれない。
過去数十年の経験はその逆のことを示唆している。日本は1980年代の不動産・株式バブルの傷跡をいまだに引きずっている。ドットコムバブルは巨額の損失につながった。サブプライムローンの破綻は世界金融危機を引き起こした。
しかし、バブルが全て同じというわけではない。株式バブルが引き起こす経済的危険性は、人々が株を買うために借金を負い、企業が過剰投資することに起因する。バブルがはじければ、重い債務を抱えた株主は支出縮小もしくは破産に追い込まれる。投資家に突然リターンを求められた企業は、人員を削減し、投資を切り詰めざるを得なくなる。