2つめは、心温まる映画を観ることである。人間は視覚から入り込んだ情報を自分の体験のように認識する。だから、映画の登場人物が感じる温かい気持ちを視覚から取り込むことで、オキシトシンの分泌を促すようにしたい。

 3つめは、1週間に1日「親切デー」を作り、その日は5つ以上親切な行いをすることである。人に親切にするとオキシトシンが高まる。しかも親切は、毎日少しずつよりは、集中的に行うほうがよいことがわかっている。つまり、「一日一善」よりも、「週1・5善」のほうが幸せになりやすい。

◇結婚するかしないかより、結婚後の努力がカギ

 はたして結婚は幸福に寄与するのだろうか。科学的見地からいうと、結婚そのものよりも結婚で得られる幸福な気持ちを維持する努力をしているかどうかのほうが重要だ。幸福な気持ちを下げてしまう一番の原因は「慣れ」だ。極力慣れないようにしよう。実際、幸せな結婚生活を送っている人は、ささやかな感謝の言葉を伝えたり、プレゼントを必ず送ったりするなど、パートナーと一緒にいることを当たり前と思わず努力している。一方、そうでない人は一緒にいることが当たり前と感じて、大した努力をしない。だからこそ、いかに慣れを遅らせるかの勝負といえる。

 パートナーシップを深めるうえで、反応の仕方にもコツがある。それは、相手に辛いことがあったときに慰めるよりも、相手にいいニュースがあったときに、熱意を持って反応することである。人は嬉しいことがあったとき、パートナーからの反応が薄いと「自分は相手から尊重されていない」と感じてしまう。くれぐれも気をつけるようにしよう。

◇ポジティブ思考だけでない、3つの感情

 私たちの幸福度に影響を与える感情は3つある。それは、ポジティブ感情、ネガティブ感情、人生満足度だ。3つの感情それぞれにつながる正しい選択をすることで、幸福度が増していく。

 ポジティブ感情を強めるには、将来への希望に向けて現実的な行動を着実に実行し、個人的成長を感じるようにするのがよい。イメージは「半沢直樹」だ。どんな困難にぶつかっても、倍返しの気持ちとミッション実現に向けての行動力という面で、お手本になる。