近年はテレビや新聞、ネットで多くの健康情報を知ることができる一方、「どれが本当に正しい情報なのか」を判断するのが難しい時代になりました。最近では「エビデンス(科学的根拠)あり」や「最新研究にもとづいた」とうたわれるものを増えていますが、新型コロナのような未知のウイルスの場合、次々と“新しい”エビデンスが生まれ、常に知識のアップデートと情報の選別が求められます。そこで今回は、医師・医療ジャーナリストの松村むつみさんの著書『「エビデンス」の落とし穴』(青春出版社)から、今注目のワクチンについて、承認されたワクチンの科学的根拠や「副反応」への考え方について解説します。
承認されたワクチンは厳しい試験を突破している
公的接種が定められているワクチン(子どもの頃に義務で接種する「麻疹」や「風疹」、「日本脳炎」など)は、「効果あり」という信頼性の高いエビデンスがあります。
まず、ワクチンが「承認」されて国内で使用されるためには、定められたいくつかの試験を突破しなければなりません。公的接種になっている予防接種は、効果や副反応の面で、信頼性の高い試験を突破しています。いくつかの試験を突破しても、最後のもっとも厳しい試験を突破できないこともあり、そのような「十分なエビデンスのない」状態では、予防接種は承認されません。
ですので、承認されているワクチンは、一定の効果があり信頼できるエビデンスがあると考えていいのです。