インフルエンザ特措法等の改正案については、入院を拒んだり入院先の病院から逃げ出したりした場合の罰則として刑事罰である懲役及び罰金が盛り込まれていたことが大きな議論を呼んだ。当然、与野党対決の争点となり、両者の協議の結果、いずれも削除され、行政罰である過料に大幅に軽減されて規定される方向となった。

 しかし、過料とは言っても罰則は罰則である。インフルエンザ特措法の改正案に、時短要請への協力に応じなかった場合の命令や同じく過料を規定する。その一方で、応じた場合の財政支援については「必要な財政上の措置その他の必要な措置を効果的に講ずるものとする。」(第63条の2第1項)として補償は規定せず、かつ実質的に努力規定と同様の規定である。

 審議入りすれば再び多くの注目を集めることになるものと思いきや、2月3日には参院本会議でこちらもすんなり可決成立してしまった。

 このように、今国会は、「新型コロナ対策国会」かつ相変わらずの「野党によるスキャンダル追求国会」と言っても過言ではない状況である、というのがメディアを含め世間一般の認識だろう。

 しかし、こうしたものの影に隠れて、「新型コロナショックドクトリン法案」とも呼ぶべき、わが国の社会・経済を大きく毀損することにつながる法案が着々と準備され、順次国会に提出されているのである(※ショックドクトリンとは、大惨事に便乗して実施される過激な市場原理主義的な改革のこと)。

中小企業と地域社会・経済を
破壊しかねない法案の問題点

 そうした新型コロナショックドクトリン法案のうち、成立し、施行されれば中小企業の破壊を通じて、わが国の地域社会・経済を破壊しかねない、最たるショックドクトリン法案がある。

 それは、(1)新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案(仮称)と、(2)産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案である。

 本稿では、このうち(2)の産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案(以下、「競争力強化法等一部改正案」という)について、その問題点や隠された意図について概説することとしたい。

 まず、本法案は「中小企業を破壊するものである」と述べたが、法案の名称には中小企業という名称はない。従って、表向きはこの法案が中小企業関連法案であることは分からない。かく言う筆者でさえも法案名を見ただけでは気づかず、概要ペーパーを読んでやっと分かったぐらいである。