最低賃金引き上げ等により、非効率企業を退出させて労働力移動を円滑化させるという策は、不況期ではなく好況期まで待つべきだ。(経済評論家 塚崎公義)
中小企業の効率化が必要なことは当然だが……
菅総理は、中小企業の効率化に熱心なようである。日本の中小企業の生産性は低く効率化すべきだ、と言われており、その点については全くその通りであろう。
デジタル技術、IT技術を活用すること等々、是非とも政府も支援して推進してほしい。まあ、その前に役所が業務を効率化することが必要だろうが(笑)。
しかし、「非効率な中小企業を淘汰することによって中小企業の効率を上げよう」ということであれば、それは大変危険な考え方である。「非効率な中小企業を淘汰して効率的な中小企業のみが生き残れば、中小企業の効率は上がる」というのは、「成績の悪い学生を退学させれば学生の成績(平均点)が上がる」というのと同じことであり、全くナンセンスだからである。
「最低賃金を引き上げることで非効率企業を淘汰しよう」という案は、単に“成績の悪い学生を退学”させるだけで、中小企業の生産性アップにはつながらないという結果に終わりかねない。