ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズにとって、新常態はまだ始まっていない。だが同社が決算報告で示した今後の見通しはまんざら悪くない印象だった。新型コロナウイルスの大流行がひとたび落ち着けば、ズームの事業はどうなるのかという懸念が、このところ同社に影を落としていた。ズームの株価は、コロナワクチン開発の最初の大きな進展が報じられた11月初旬以降、約18%下落した。BVPナスダック・エマージング・クラウド指数がこの間に同程度上昇したのと好対照をなす。自然な調整が入った面もある。ズーム株はその時点で年初から635%急伸していた。だがシリコンバレーの駆け出しからほんの数週間で誰もが知る企業に急成長した同社にとって、普通の生活が今後数カ月以内に戻るとの見込みが依然として主な不確定要素だった。