「お金持ちになるにはどうしたらいいのか」という疑問にこの連載ではいろんな角度から答えを示していきます。お金持ちなら誰でも知っている秘密を明かしていきます。
その疑問の答えにたどり着くには「お金」「経済」「投資」「複利」、そして「価値」について知っておく必要があります。少し難しい話も出てきますが、今は完全にわからなくても大丈夫です。
資本主義の仕組みについても、詳しく解説していきます。なぜなら、資本主義の世界では、資本主義をよく知っている人が勝つに決まっているからです。
今後の答えのない時代において、どのように考えながら生きていけばいいのか、ということもお話ししていきたいと思います。さあ、始めましょう!
(もっと詳しく知りたい人は、3月9日発売の『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)を読んでください)

コロナ リモート
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「ありがとう」の総量を
お金で評価するのが資本主義

皆さんに、伝えておきたいことが一つあります。

それは「お金持ちになりたいなら、お金を求めてはならない」ということです。

そもそも、お金を追いかけて成功した人は、ほとんどいません。大体において失敗しています。たとえば、宝くじで大金を当てた人、ギャンブルで大儲けした人、そういう人たちは大金が入ってきたことで、生活や人間関係が激変して身を持ち崩すことが多いと言われます。それは、単にお金を追い求めても、お金は逃げていくということを示しています。

ではどうすればよいのでしょうか。自分のためではなく、他人に対して、社会に対して「価値」を提供すればよいのです。それは別に難しいことではありません。たとえば喫茶店でアルバイトする時でも、自分のやっている接客という仕事を自分のバイト代のため、と考えるのではなく、お客さんがゆっくり過ごせるために自分に何ができるのか、と考えるだけでいいのです。

バイトをしているという行動そのものは何も変わりませんが、心の持ち方が全く異なってきます。お客さんに対してどんな価値が提供できるのか、ということを考えていると色んなアイデアが生まれてくるものです。お客さんに対する接し方や店内の掃除の仕方が根本的に変わってくるでしょう。そうするとお客さんからの評価が変わり、店長からの評価が変わり、関係性が良い方向に動き始めます。そしてその姿勢は、社会に出た時に絶対に役に立ちます。

実際、ビジネスで成功した多くの人は、世の中のためになりたい、人の役に立ちたい、困っている人を助けたいということが動機としてあって、そのために自分は何をするべきかを考え抜いたところでアイデアを思いつき、それを仕組み化してビジネスを立ち上げ、大勢の人たちに受け入れられて、最終的に成功を掴んでいます。人と社会に価値を創り、提供した結果として、お金と成功を得ているのです。

恐らくそういう人たちは、「大金を手にしたい」という想いだけでビジネスを立ち上げたわけではないと思います。お金は、世の中をどれだけ良くしたかということに対する評価の一つに過ぎないのです。

お金とは「ありがとう」のしるしです。世の中のどれだけ多くの人に「ありがとう」と言われることをしたのか、「ありがとう」と言われるものを創り出したのか。「ありがとう」の総量がお金で評価されるというのが資本主義の基本原則です。「ありがとう」をたくさんのお客さんや社会に提供していると、結果としてお金持ちになってしまいます。そう、「なってしまう」のです。

お金持ちになりたいなら、お金のことだけを考えていてはいけません。世の中の多くの人に「ありがとう」と言われるには何をしたらいいのかを、考え続けるべきなのです。

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奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)など。