日本企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるために、今足りないのはどんな能力なのか。経済産業省が、DXを推進しなければ日本に約12兆円もの経済損失が発生すると予測した「2025年の崖」が迫るなか、日本企業が取り組むべき具体的な課題を明らかにすべく、東京理科大学経営学部経営学科の飯島淳一教授に話を聞いた。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)
製造やオペレーションでは進む一方
「チャネル戦略」で進まない日本のDX
多くの日本企業が、待ったなしの状態となっているデジタルトランスフォーメーション(DX)。このDXに取り組む日本企業の実態について、フレームワークを使って調査と分析を行っているのが、東京理科大学経営学部経営学科の飯島淳一教授だ。
では、日本企業のDXに備えることができる力、つまり「デジタル・レディネス」はどのような状態なのか。飯島教授は、2018年10月中旬~2019年1月中旬にかけて、45社(ITユーザー企業が73.3%、ITベンダー企業26.7%)を対象に「デジタル化の備え」に関するフィールド調査を実施。調査は、IVI(Innovation Value Institute)が開発した「IT-CMF(IT Capability Maturity Framework)」というフレームワークをベースにした評価手法「DRA(デジタル・レディネス・アセスメント)」によって行った。
※IVI:インテルとアイルランド国立メヌース大学が共同で設立した研究所
「全体の調査結果からDRI(デジタル・レディネス・インデックス)を計算したところ、初期段階の『受容ステージ』にあるのが35社、『立上ステージ』が9社だった(45社のうち1社は外資系企業のため結果から除いた)。これは約2年前の調査だが、いまだにDXへの理解が正しくなされていないことから、現状もそれほど変わっていないと考えている」(飯島教授)