日銀の「点検」結果公表で
為替はどう動くか?
日本銀行は、昨年12月の金融政策決定会合で、「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行う」と公表。「点検」結果は、3月18~19日の決定会合後に公表される見通しだ。以下では、日銀が「点検」を実施するに至った背景や、考えられる政策変更および為替相場などへの影響を考察する。
【点検実施の背景その1】
コロナショック後の経済・市場の急回復
日銀が「点検」実施に至った最大の理由は、コロナ後の経済・金融状況の変化だろう。経済や金融市場が、コロナショック直後の大混乱から想定以上に速く回復したため、危機対策として導入した大規模な資産買い入れ(国債買い入れの無制限化、ETFや社債買い入れの増額および各種資金供給措置の拡充)の必要性は低下し、形骸化すらしている。
たとえば日銀のETF買い入れペースは、日経平均株価が1990年8月以来の3万円台へ上昇する中で鈍化している。2月のETF買い入れ額は717億円で、過去12ヵ月の累計買い入れ額は6.4兆円と目標(年間最大12兆円)を大きく下回った。一方インフレは、コロナショックの経済に対する影響が続いていることから、目標達成までより長い期間を要する見通しとなった。このため日銀は、今後も続くことになる金融緩和から生じる副作用を低減する必要性が高まった。