エクセルマクロの挫折しない勉強法や仕事で使いこなすコツを徹底解説！
講師の寺澤さんはこれまでの20年間マクロを使って様々な業務を効率化させるなど、数多くの社内表彰を受けてきました。例えば、数十万行の元データから分析用データを毎週作成する作業。人の手だと1週間かけても終わらない作業ですが、マクロを使うと30分程で完成してしまいます。さらに自ら社内講座も主催、全くマクロを触ったことがない数百人を指導し、満足度98％と人気を博しています。近著『４時間のエクセル仕事は20秒で終わる』では、そのエッセンスを余すところなく紹介しています。
本連載では、エクセルマクロを仕事で使うための本当に必要な知識だけを、できるだけわかりやすく説明していきます。
Photo: Adobe Stock
コピーした内容をペーストする方法（その2～4）
今回は前回に引き続き、コピーしたセルの貼り付け方を紹介していきます。
「練習」シートの、セルE7に数式貼り付け、セルE9に書式貼り付け、セルE11に全貼り付けします。それぞれの貼り付け方を明確に指示する必要があります。難しくはありませんから、1つずつ見ていきましょう。
コピーするセルは前回同様「練習」シートのセルB5で、その内容は「=SUM(B1:B3)」です。マクロは次のように書きましたね。
Sheets("練習").select
Range("B5"）.Copy
貼り付け方その2：数式貼り付け
元の数式だけが貼り付きます。その数式で計算対象になっていたセルは、コピーで貼り付け先を動かした分だけずれます。エクセルで数式を貼り付けるときと変わりませんね。また、罫線やセルの色、フォントなどの書式は貼り付きません。
Range("E7"）.PasteSpecial Paste:= xlFormulas
貼り付け方その3：書式貼り付け
元のセルの書式だけが貼り付きます。コピー先のセル内には数字も関数も入っていない状態となります。罫線やセルの色、フォントなどが元のセル通りに貼り付きます。
Range("E9"）.PasteSpecial Paste:= xlFormats
貼り付け方その4：全貼り付け
元のセルの内容や書式がすべて貼り付きます。コピー先のセルの中は数式です。計算対象になっていたセルは、コピーで貼り付け先を動かした分だけずれます。また、罫線やセルの色、フォントや文字色などの書式も元のセルのまま貼り付きます。
Range("E11"）.PasteSpecial Paste:= xlAll
完成させて動かしてみよう
それではマクロを書きましょう。
今回は3パターンあるので、マクロ名はそれぞれ「数式貼り付け」「書式貼り付け」「全貼り付け」にしてください。1つ貼り付けのマクロを作ってしまえば、残りはコピーして微修正で対応できます。
それぞれのボタンにマクロを登録し、保存した後に押してみてください。「練習」シートのセルE7、E9、E11にそれぞれの形式で貼り付けられれば成功です！
1 Range、Copy、PasteSpecial、Paste の綴りが間違っている
2 セルが" "（ダブルクォーテーション）で囲まれていない
3 Select やCopy、PasteSpecial の前に.（ピリオド）がない
4 Values やFormulas、Formats で最後のsが抜けている
5 :（コロン）が;（セミコロン）になっている
6「 :=」ではなく「=:」の順番になっている
7 xl が抜けている、もしくは綴りが間違っている
（本稿は、寺澤伸洋著『4時間のエクセル仕事は20秒で終わる』を抜粋、再構成したものです）
寺澤伸洋（てらさわ・のぶひろ）
1976年、大阪府生まれ。灘高校、東京大学経済学部卒業後、日系メーカーで17年間勤務。経理や営業、マーケティング、経営企画などに携わり、独学で覚えたエクセルマクロを用いて様々な分析や業務改革を行う。2017年、GAFAの日本法人のうちの1社へシニアマネージャー（部長）として転職。これまでエクセルマクロを用いた業務改善などで数多くの社内表彰を受けている。手作業では不可能なほど大量のデータを、短時間で分析しやすく加工したことが評価され、社内エクセルマクロ講習会の講師として延べ200人以上に講座を実施。エクセルマクロについて1から10まで教える詰め込み型の学習ではなく、仕事に必要な部分だけを効率的に学べる講座として満足度98％の高い評価を受けている。
