ちゃんとした数値調査を目にしたわけではないのですが、さまざまな世論調査を背景に捉えてみると、前者の「絶対正義派」はどちらかというと少数派です。コロナ禍のマスク問題でも議論になりましたが、マスク警察のような活動家は国民全体でいえばあくまで少数派。「そういう正義もあるだろうけど、あまり正義を振りかざし過ぎるのはどうだろう」と考える人の方が、実際には多数派です。

 一方で、政治の本質は利害調整にあります。何かの目的を達成するために、誰かに我慢を強いることが政治の本質です。道路を造るために住民に立ち退きをお願いするとか、環境汚染を減らすために特定の化学品の製造や使用を禁止するようメーカーに伝えるとか、立法も行政もどちらも、「最大多数の最大幸福」のための利害調整を仕事とします。

 しかし、もし「最大幸福のためには仕方ない」と思って立ち退きを強いられた側の国民が、道路を建設することで一部の政治家や官僚が私腹を肥やしていたと知ったら、それは国民の怒りが爆発する原因になります。こういった不正に対して強い怒りを感じる国民は、多数派なのです。

総務省接待問題は
国民の利益を損ねてはいない

 その観点で事件を捉えると、今回の総務省接待事件は利害の構図で見ると国民にとって不利益があったようには思えない。あくまで国民が感じているのは、スマホの料金の高さに問題を感じた歴代の総務大臣が、総務省の官僚に指示を出して、通信各社にスマホの基本料金を値下げさせるように圧力をかけたことと今回の事件には、何らかの関係があるのだろうという邪推です。

 真相はたぶん解明されないと思いますが、もし解明されたとしたら、不利益を被ったのは収益を下げることにつながる大企業の側であって、国民の大多数は得をすることになるはずです。