ドコモ
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総務省幹部への接待問題が深刻化しています。その温床は、旧郵政省系の官僚が握る通信・放送行政に関する大きすぎる権限であり、NTTによるドコモ完全子会社化の決定プロセスが歪められた可能性があります。自身の“直轄領”で起きた不祥事の再発防止のため、菅義偉首相は大胆な組織改革に取り組むべきではないでしょうか。(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)

総務省存亡の危機に発展、事前届け出「ゼロ」の異常なユルさ

 総務省、正確には旧郵政省の接待問題が深刻化しています。これまでに東北新社とNTTによる接待が発覚しましたが、接待を受けた総務省の官僚の数、そして接待した企業の数も、実際にはもっと多いはずですので、内部調査の結果次第では総務省存亡の危機となりかねません。

 ただ、本件に対する野党の追及やメディアの報道は、接待の豪華さや政治の側の責任など、本質から外れた部分ばかりの感もありますので、なぜ旧郵政省でこんな非常識が横行していたのか、それによってどのような弊害が生じた可能性があるのかについて考えてみたいと思います。

 それにしても、今回発覚した一連の接待の回数は異常です。東北新社は、総務省の事務方ナンバー2の谷脇康彦前総務審議官から、課長補佐に至るまでの13人を対象に、3年半の間に39回もの接待をしていました。またNTTは、谷脇氏一人に2年弱で3回も接待をしていました。

 これだけを見ても、旧郵政省の人たちの接待に対する倫理感覚の鈍さは霞が関の中でも突出していると思わざるを得ません。政治部や霞が関詰めの記者たちも異口同音に“旧郵政省の人たちは接待に緩い”と言っています。

 ちなみに、接待に関して国家公務員倫理規程をどの程度遵守していたか(利害関係者と単価1万円以上の割り勘の飲食をする場合、事前に倫理監督官への届け出が必要)を見ても、例えば2019年度は、利害関係者との会食が多いであろう経済産業省で103件届け出があったのに対して、総務省はなんとゼロです(https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/r01rinri_houkoku.pdf)。