大学受験に向けて、志望する学部・学科をどう選ぶべきか、迷っている高校生も多いだろう。親御さんの勧めもあるかもしれない。学部・学科選びの考え方について、刊行から23年目を迎えるロングセラー『大学図鑑!』が独断と偏見でお答えしよう。

ニーズで決めてもいいけれど…

人気の学部や学科は時代によって移ろうものだ。

たとえば、少し前までは法学部の人気が高かったが、弁護士の人余りが知られると急にダウン、逆に人がまだ足りない医師をめざせと、やたらに医学部人気が高まっている。

大学での学びを職業と直結して考えること自体は、間違ってはいない。が、社会に出てからの有利不利ばかりを気にするのも、大学の選び方としてちょっと歪んでいる

大学は、高校時代までよりもはるかに「好きなことを思う存分できる」場であり期間なのだ。好きこそ物の上手なれで、とくに好きでもない分野にニーズがありそうだからと入っていったところで、自分の持てる力はそんなに伸びない。

志望する学部や学科はどうやって選べばいいのですか志望する学部・学科選びに迷っている人は… (Photo: Adobe Stock)

だから、やりたいことがあるのなら、やりたいことができるところへ行け。それが、学部・学科選びの基本である。

そう言われて、パッと「自分は〇〇をやりたい!」と思い浮かぶ人は、ためらわずにチャレンジしよう。やりたいことが自覚できるというのは、それだけで能力だ。大学でその能力を伸ばさない手はないのである。

興味がわいてこない場合どう考えればいいか?

けれども、やりたいことがとくにない、という人のほうが実は多いかもしれない。大学という教育機関が扱うメニューの中に心引かれるものが見つからない人もたくさんいるだろう。

そうした場合は、無理やりやりたいこと探しをしなくていい。大学の勉強以外の何かに興味を引かれるのなら、それはそれで構わないし、やりたくないことしかわからないのなら、消去法で学部・学科を選んでいけばいいのだ。

消去法で選んだにすぎない学部・学科でも、そこで多少なりとも触れた学問は先の人生でいつか活きる。科学的思考や複眼的なモノの見方など、何をするにも応用できる能力を、学問を通して身につけることは可能なのだ。

ピンと来るものがゼロの場合は、いろいろな学問を扱う総合〇〇学部や人間〇〇学部など、学際的な学部・学科でうろうろしてみるのも、ありだろう。

まとめ
興味・関心を優先せよ。興味なしは消去法で選べ