現役学生やOB/OGらの声をもとにつくっている真の大学案内『大学図鑑!2022』。シリーズ23作目となる最新刊の刊行を記念して、同書の一部をご紹介する。
同書の大学紹介パートでは、各学で長年培われてきた文化や特徴をお伝えすることに主眼をおき、短期的なコロナ禍による変化にはほとんど触れていない。そこで本記事では、大学生からみた、コロナ禍におけるオンライン講義の満足度や課外活動の実態について紹介することにしよう。(構成:斎藤哲也)
前回記事「コロナ禍で変わる大学案内や講義・ゼミ…IT活用能力の高い大学を見分けるポイントとは?」に続いて、今日はオンライン講義の満足度や課外活動がどうなっているのか、紹介していこう。
オンライン講義の満足度は?
実際にオンライン講義を経験した学生の声を聞くと、メリットとデメリットの両方があるようだ。
メリットとしては、
「自分のペースで勉強できる」
「復習がしやすい」
という声が多かった。
とくにオンデマンド方式は、自分の都合にあわせて視聴できるため、好意的に受け止めている学生が多い。通学に時間がかかる学生からは「オンライン講義で時間的な余裕ができた」という声も。
少人数のゼミでは「リアルなゼミよりも、オンラインのほうが発言しやすい」という感想もあった。リアルなゼミに比べて、オンラインのゼミは場の空気に影響されることが少ないのかもしれない。
もちろん、デメリットと課題もたくさんある。
講義に関してとくに多かったのは、「先生によって講義の質の差が大きい」というものだ。
通常のリアルの講義でも、教え方の上手い教員もいれば、下手な教員もいる。
だが、オンライン講義の場合、機材やソフトを扱う段階で差が出てしまうため、いい講義と退屈な講義の差がよりはっきりと出やすいのだろう。
同様に多かった感想が「課題が多すぎる」という意見。
オンライン講義では出席管理が難しいため、課題の提出によって出席とみなす講義がけっこうある。とくにオンデマンド方式ではそうならざるをえない。結果、通常の講義に比べて、課題の数が増える傾向にあるのだ。
また「長時間机に向かっていると、肩や首が痛くなる」など、身体面の不調を訴える声も少なからずあった。オンライン中心の生活では、健康管理にも気を配る必要がある。
課外活動への不満が多数
オンライン講義への不満以上に、現役大学生がフラストレーションをためているのは課外活動ができなくなったことだ。
「サークル活動や勉強会もオンラインなので、個人的な交流がしづらい」
「以前は食堂やサークル部屋に行けば誰かに会えた。それができないのが寂しい」
といった声が示すように、いくらオンラインでつながることができても、食堂や学生会館が使用できないと、学生同士のゆるい交流は難しい。
ただ同時に、「直接会うことは難しくなったけれど、サークルに入ったおかげで孤独にならずに済んだ」という声もあった。
コロナ禍の中で部活動やサークル活動を継続するために、上級生はSNSやZoomなどを活用して、新入生との交流を深めようとしている。大学側も学生同士の交流を促す支援がますます重要になるに違いない。