2021年度から大学入試は大きく様変わりした。前回紹介した大学入学共通テストにつづいて、コロナ禍の影響もふまえた、国公立と私立、また総合型選抜と学校推薦型選抜ごとの入試方式の特徴について確認しておこう。

国公立大入試のキホン

国公立大の受験生は、1月の共通テストを受験した後、志望大学に出願して2次試験を受験する。2次試験には前期日程、後期日程の2日程があり、受験生は日程ごとに出願校を変えることも、同じ大学を受験することもできるが、募集人員は圧倒的に前期日程が多いため、後期日程は「狭き門」であることを押さえておきたい。また、一部の公立大学では「中期日程」を設け、3日程で2次試験を実施している大学もある。

今のうちから志望校の入試情報を集めて、ときどきアップデートしておけば、突発的な変更にも対応しやすくなる。(Photo: Adobe Stock)

前期試験の合格者は、後期試験の前に入学手続きを済ませなければならないことも知っておこう。つまり、前期試験で入学手続きをすると、自動的に中期試験や後期試験は受験できなくなるのだ。

国公立大学の受験者は多くの場合、文系・理系ともに共通テストは5教科7科目以上を受験しなければならない。文系の標準型は、国語・数学2科目、外国語、地理歴史・公民から2科目、理科1科目。理系は国語、数学2科目、外国語、理科2科目、地理歴史・公民から1科目が標準。ただ、大学によって受験に必要な科目は異なるので、志望大学の選抜方法はできるだけ早く確認しておこう。

入試の合否は、共通テストと2次試験の成績を合計して判定されるが、共通テストだけで合否判定をする学部もごく一部にある。また、志願者数が募集人員に対して一定以上の割合を超えた場合、共通テストの成績で受験者を絞り込む「二段階選抜」を行うので、志望する大学が二段階選抜を行うかどうか、入試要項を読んでチェックしておこう。

共通テストと2次試験の得点比率は、大学によって大きく異なる。たとえば東京大学は典型的な2次試験重視タイプで、前期試験では、共通テストと2次試験の比率は1:4、後期試験では、共通テストは第一段階選抜に使うのみで、2次試験だけが採点対象となる。これほどの傾斜比率ではなくとも、難関国立大の多くは2次試験重視、あるいは両者均等配分の傾向がある。2次試験の科目やスタイルは、志望学部に沿った2~4科目の記述式・論述式が中心だ。共通テスト用の学習だけでは太刀打ちできないので、夏以降は志望大学の2次試験の傾向に沿った学習準備を進めたい。

ココがポイント!
◦共通テストは5教科7科目の受験がスタンダード。
◦共通テストと2次試験の得点比率は大学によって大きく異なる。

私大入試のキホン

現状でも、私立大の入試はじつに複雑だ。その背景には、各大学・学部ができるだけ多くの志願者を集めようとして、様々な入試方式を実施するようになってきたことがある。その結果、多くの大学・学部では、複数回の受験チャンスを設けるという「入試の複線化」が現在では定着しているのだ。

共通テスト導入以降も、その傾向が大きく変わることはない。各大学で多様化している入試だが、代表的な入試方式としては次の2種類に分けると把握しやすい(総合型選抜・学校推薦型選抜は除く)。

①共通テスト利用方式
②個別試験方式

①は、共通テストの得点だけで合否判定するものだ。大学・学部によって受験科目は大きく異なるので、志望大学の共通テスト方式を確認することが大切なのは言うまでもないが、同時にチェックしておきたいのが募集人員だ。

①は②に比べると募集人員が少なく、また共通テスト必須の国公立大志望者が出願しやすいため、他の入試方式に比べて難易度が高くなる傾向にある。

②の個別試験方式は、各大学の学部・学科が独自に実施する試験だが、こちらは共通テストと組み合わせたり、試験日を複数設けたりするなど、種類はじつに多様だ。大学キャンパス以外にも試験会場を設置する「学外試験」を導入する大学も多くなってきた。地方在住者にとってはメリットのある制度なので、上手に活用すれば金銭的にも体力的にも負担の軽減になるだろう。

②の中で、規模の大きな大学を中心に増加傾向にあるのが「全学部日程方式」と呼ばれるものだ。全学部日程方式とは、全学部や複数の学部・学科が同一日程で共通の試験問題を用いて実施する試験のことをいう。全学部日程方式でも、一学部(学科)しか出願できない大学と、複数学部(学科)の併願が認められている大学とがあるので注意しよう。この全学部日程方式も、複数の試験日を設けたり、学外試験を実施したりしている大学がある。

こうした入試の複線化や多様化によって、同じ学部を5回、6回と受験できるような大学まである。ただ「数打ちゃ当たる」と考えて、闇雲に受験回数を増やすのはあまりオススメできない。金銭的な問題ももちろんあるが、1回の試験でも体力はかなり消耗するため、過密な受験スケジュールは成績にも影響を及ぼすからだ。できるだけ早期に行きたい大学や学部を絞り込み、複雑な入試方式に翻弄されないことも、重要な受験対策と言えるだろう。

ココがポイント!
◦入試の多様化・複線化は今後も変わらない。
◦共通テスト利用方式は難易度が高い。
◦受験チャンスは増えたが、過密な受験スケジュールは禁物。

総合型選抜と学校推薦型選抜のキホン

共通テストの話題で見逃されがちだが、現行の推薦入試やAO入試も2021年度からは大きく変わった。まず、入試区分について、次のように呼び方が変わる。

◦一般入試 → 一般選抜
◦AO入試 → 総合型選抜
◦推薦入試 → 学校推薦型選抜

内容面では、総合型選抜と学校推薦型選抜のいずれについても、「小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績」または「共通テスト」の活用が必須とされており、従来のAO入試や推薦入試に比べて、基礎学力を測る大学・学部は増加傾向にある。

また、丁寧な評価や本人の学習意欲への影響という観点から、どちらの入試日程も2021年度から約1ヵ月後ろにずれることになった。具体的には、総合型選抜は出願が「9月以降」(これまで8月以降)、合格発表が「11月以降」(これまでは規定なし)となり、学校推薦型選抜は出願が「11月以降」(これまでと同じ)、合格発表が「12月以降」(これまでは規定なし)となっている。

なお、総合型、学校推薦型の定員ともに、国公立大でも拡大している。この傾向はしばらく続きそうだ。

ココがポイント!
◦総合型選抜、学校推薦型選抜でも共通テストを課す場合がある。
◦国公立大の総合型選抜、学校推薦型選抜の枠は拡大傾向。

コロナの影響は?

気になるのはコロナの影響によって、入試が変更される可能性があることだ。

2021年度の場合、総合型選抜や学校推薦型選抜では、オンライン面接や課題プレゼンテーションの動画提出など、入試をオンラインで実施する大学も散見された。

また、国公立大学では2次試験をとりやめて、共通テストの点数による合否判定に切り替えた学部もあった。私立大学の一般入試では、コロナ感染者や濃厚接触者に対して、追試験を設けるケース、共通テストの成績で判断するケースなど、さまざまな特例措置が取られている。

2022年度入試に、こうした突発的な変更が起こらないことを願いたいが、楽観は禁物。志望大学が2021年度入試でどのような対応をしたのかはチェックしておいたほうがいいだろう。未来が不確実な状況では、例年以上に情報収集が大事な入試対策になる。

ココがポイント!
◦コロナの影響で入試が変更される可能性あり。
◦情報収集も大事な入試対策。