そして最期の日、ご主人は慌てずにひとりでしっかりE絵さんを看取って、私たちに連絡をくれました。連絡を受けて伺うと、E絵さんはとても穏やかな表情で亡くなっていました。ご主人は、「ほんとに逝っちゃったね。ずっとわかってたことだけどさみしいよね。でもE絵、いっぱい頑張ってくれたから、おれも頑張らないと」と涙をこらえてそうおっしゃっていました。言葉少なだったおふたりの、目には見えない強い絆を感じずにはいられませんでした。あとから聞いた話ですが、E絵さんは、自分のご両親と娘さんにも病状を伝え、またお友だちもすぐに呼んで「自分がいなくなったあとは、必ず夫の生存確認をしてほしい」と頼んでいたそうです。

 おふたりの中でしっかり話がなされていて、お互いを思いやるご夫婦の姿が、本当に素晴らしいな、と思いました。

(監修:中村明澄)

なかむら・あすみ/医療法人社団澄乃会理事長。向日葵クリニック院長。在宅医療専門医・家庭医療専門医・緩和医療認定医。2000年東京女子医科大学卒業。11年より在宅医療に従事。12年8月に千葉市のクリニックを承継し、2017年11月に千葉県八千代市に向日葵クリニックとして移転。向日葵ナースステーション(訪問看護ステーション)・メディカルホームKuKuRu(緩和ケアの専門施設)を併設し、地域の高齢者医療と緩和ケアに力を注いでいる。