右から杜氏で副社長の川端慎治さん、代表の塚原敏夫さん、クリエイティブディレクターの新村銀之助さん
右から杜氏で副社長の川端慎治さん、代表の塚原敏夫さん、クリエイティブディレクターの新村銀之助さん Photo by Yohko Yamamoto

上川町発!北海道の米水人を活用し
酒蔵から地域振興

 日本最大の山岳自然公園、2000m級の山々が連なる大雪山国立公園。その北側の麓にある上川町は平均高度1000m、石狩川最上流の人口3398人の町。ここに誕生した酒蔵が奇跡を起こす。

 蔵元は札幌出身の元証券マン、塚原敏夫さん。日本酒とは無縁だったが、休業中の三重県の酒蔵を譲り受け、上川町へ移転計画を立てた。

 前例のない地域移動と実績のない異業種からの参入で手続きに2年を要したが、町長や役場の声援を受け、2017年に緑丘蔵を完成。社名と銘柄に町名を入れ、飲んだ人を町へ呼びたいと考えた。

 使う酒米は北海道産と決め、米調達の縁で知った小樽市出身の杜氏、川端慎治さんを誘う。蔵はコストを最小限に抑えたコンパクトな設計で、手作業中心の小仕込みで純米酒のみを醸す。

 シンボルマークは塚原さんと旧知の仲の新村銀之助さんが考案。アイヌ文様をモチーフにした家紋風デザインで酒の五味を表現。川端さんも新村さんも「新しい酒蔵?面白そうだ!」と出世払いの手弁当で参加を決めた。

 透明感のある美しい酒は町の人の心を鷲掴みにし、地元限定酒「神川」を求めようと町外からの客も増え、月1000本を販売するコンビニも。売上高前年比108%、取引依頼と連携希望が殺到。

 昨年、産学連携で帯広畜産大学構内に新蔵を建造し、川端さんは客員教授に就任。

「市場はあります。酒蔵のない町に酒蔵を造って地域振興を!」と塚原さんは言う。

 函館市やオホーツクで計画が進行中で、地方創生蔵とも呼ばれる。

上川大雪 特別純米
上川大雪 特別純米
●上川大雪酒造・北海道上川郡上川町旭町25番地1●代表銘柄:上川大雪 純米大吟醸、上川大雪 純米吟醸、十勝 純米、神川 純米●杜氏:川端慎治●主要な米の品種 彗星、吟風、きたしずく