蔵人5人衆
蔵人5人衆 Photo:Dainagawa

町の誇りとなる酒蔵へ!
生まれ変わって5冠に輝く

 日本酒はピーク時の1/4まで出荷量が落ち、休業・廃業、家族経営を外部人材で救済するケースも増えている。秋田県横手市大森町で1914年に創業した大納川は後者。新社長は田中文悟さんで、13もの酒蔵を立て直した酒蔵再生人だ。地元銀行から腕を見込まれての依頼に、「町唯一の蔵を絶やしてはならない」と引き受けた。モットーは「誰も辞めさせない」そして「町の誇りとなる酒蔵」だ。

 2019年に新体制で始動。杜氏は、四半世紀この蔵一筋の佐藤好直さん。蔵人は文悟さんを含めた5人で、社長自ら米洗いに酒質設計、営業と早朝から駆け回った。

 安酒一辺倒の酒造りから純米酒造りにスイッチ。だが、建物も設備も老朽化し困難を極めた。清掃を徹底し、最低限の設備を導入し、少量仕込みへと切り替えた。洗米は500kg単位だったのを10kg単位に。搾った酒は3日以内に瓶詰めし、瓶ごと湯煎で殺菌。貯蔵は冷蔵庫と、全てを大吟醸級の造りに変えた。

 成果は酒造り2年目の20年に表れた。全国新酒鑑評会で入賞、老舗蔵がそろう秋田県清酒品評会で知事賞首席、強豪が多い東北清酒鑑評会で優等賞など5冠に輝いた。無名蔵の好成績は同業者、町民、誰もが驚き、苦節25年の佐藤杜氏は知らせに涙した。

「酒造りに重要なのは環境改善」と文悟さん。「清潔で丁寧な造り、社内の明るい雰囲気が絶対条件。酒が僕らを見てるんです」。

 わずか66石から始まった酒造りは、3年目に450石まで増石。酒が答えを出した。

天花 純米吟醸 無濾過原酒
天花 純米吟醸 無濾過原酒
●大納川・秋田県横手市大森町字大森169●代表銘柄:大納川 純米大吟醸、天花 純米、山内杜氏 純米吟醸●杜氏:佐藤好直●主要な米の品種:秋田酒こまち、めんこいな、亀の尾