私がサントリーでお茶の仕事をしていたときに、「センスがいいな」と感じたのが永井でした。サントリー側にもお茶の開発に携わる理系の研究者がいるのですが、彼らの独特な言葉を理解して、工場側に“翻訳”することができていたからです。

 永井は今やお茶の世界に15年以上いるので、この業界のことを知り尽くしています。

――茶葉設計技師としての日本茶のブレンドがどのように行われるのかイメージが難しいのですが、可能な範囲で具体的に教えていただけないでしょうか。

 例えば、こんな依頼書を丸山製茶さんという茶商(製茶問屋)に渡して手を動かしてもらっています(下画像)。

 茶葉の産地や農家さんの名前に加えて、生産時期、部位、蒸し方、火入れの具合などをそれぞれ個別で指定した上で、各茶葉の配合比率を決めます。この試作依頼書は、6種類の茶葉のブレンドを依頼するものです。

――「急須がなくても淹れられる」「どんな温度の水でもおいしく淹れられる」という、これまでのイメージを覆す日本茶を開発しているとのことですが、その狙いについて教えてください。

 ペットボトルやマイボトルの中に水を入れておいて、あとはその中にティーバッグを落とすだけで、お客さんが飲んだときに「何これ!?」と声を上げるくらい驚くほどおいしいお茶が淹れられる。それが一坪茶園のお茶のコンセプトです。

 また、「水出し」にこだわっています。その方が香りは飛びにくいし、味もシャープに出て絶対においしいからです。

 リーフのお茶は、いいお茶ほど淹れるのが難しい。お湯を別の容器に移し替えて温度を下げてから急須に入れて…みたいな工程が必要です。その結果、「せっかく高級な茶葉でお茶を淹れたのに、何だかおいしくない」ということが起きがちです。

 そこで現代人の生活スタイルやお茶を飲むシーンを考えた上で、お茶の作り手ではなく飲み手、つまりお客さんを主語にして商品を開発しました。急須がなくても水の温度を気にしなくても、誰でも驚くほどおいしいお茶を淹れられることを目指したんです。

 その結果、(日本のキャンプ用品メーカーの)スノーピークさんが今年5月にオープンするレストランで一坪茶園のお茶を扱っていただけることが決まりました。スノーピークさんが(北米事業の本社機能を持つ戦略拠点として)オレゴン州ポートランドに拠点を開設するのですが、そこに併設されるレストラン「Takibi」においてです。お茶の淹れ方に詳しくない現地スタッフの人にも簡単においしい日本茶が淹れられるという点を評価していただきました。