2017年夏、緑茶飲料市場は絶好調だ。といっても猛暑の恩恵だけではない。市場が16年から一段と勢いを増しているのだ。そのきっかけは、かつて一世を風靡しながらも“万年4位”に甘んじてきたキリン「生茶」の大リニューアル。どん底からの逆襲だ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)
さかのぼること2年前の2015年。キリンビバレッジは苦境に喘いでいた。主力の緑茶飲料ブランドである「生茶」の販売不振が深刻だった。
店頭には、安売りの札が張られた生茶。その隣には、広い販売スペースを確保した競合他社の商品。店頭での扱いを見ても、生茶ブランドの輝きは、すっかり色あせていた。
2000年の発売当初、生茶は緑茶界の“革命児”だった。それまでのペットボトル緑茶は、渋みや苦みを強調したテイストのする、いわゆる“お茶らしいお茶”が主流。生茶は、その真逆で勝負した。旨みが引き立つすっきりとした味わいに、「生」という今までにない概念を引っ提げて、緑茶界に殴り込みをかけた。
CMでは、女優の松嶋菜々子が「お茶にも『生』があったんだ」とつぶやいてみせた。
発売以降、破竹の勢いで売り上げを伸ばし、伊藤園の「お~いお茶」の独壇場であった緑茶飲料市場に風穴を開けた。ペットボトル緑茶の新たなブームに火を付けた。