米ソの冷戦とは異質の
「新しい冷戦」へ突入した

 3月18〜19日、米アラスカ州のアンカレッジで開催された米中外交トップ協議では、両国の対立が鮮明だった。

 中国は、米国が主張した国際社会のルールに従うことに強く反発。外交の専門家が「中国側は過去に例を見ないほど怒りを示した」と指摘するほどだ。「新しい冷戦」とも呼ばれる米中対立は激化の一途をたどっている。

 米ソの冷戦では、両国が関係を絶った。しかし、米中の対立はそれとは異質だ。経済面で米中の関係は深まっているのである。その一方で、米国は人権、領土、知財などの面から中国に圧力をかけ、自国が整備してきた国際社会のルールに従うよう、中国に求めている。それは米国の覇権維持に欠かせない。そのためにバイデン政権は、国際連携に基づいた対中包囲網の整備に取り組んでいる。EU、米国、英国、カナダが足並みをそろえ、ウイグル人権問題で対中制裁を発表したのはその象徴だ。

 ただし、バイデン政権の対中政策が短期間で効果を表すとは考えづらい。なぜなら、コロナショックを境に世界経済にとっての中国経済の重要性、相対的な強さが一段と高まったからだ。日米欧などで中国での収益獲得をより重視する企業は多い。

 逆に言えば、バイデン大統領に求められるのは、経済面で中国に対する米国の優位性を世界に示し、国際世論の支持を得ることだ。そのために同氏は、インフラ投資など経済対策を強化して米国の雇用環境を回復させ、社会の分断の修復を目指している。その上で、多様性を尊重し、イノベーションが発揮されやすい経済環境を実現しなければならない。

 足元、懸念すべき「変異株」の出現など、新型コロナウイルス感染の影響はまだまだ軽視できない。雇用を中心に米国経済には弱さが残るし、アジア系住民などへの差別も深刻だ。

 バイデン政権がスピード感を持って、実効性の高い政策を進めることができるか否かは、対中政策に無視できない影響を与える。