預金はむしろリスク資産と考えるべきだ
ゼロ金利、1%の物価上昇が30年続くと…

 日本人はリスクを嫌う遺伝子を持つ人が多いといった見方もしばしば目にする。災害が多い日本列島で生き残ったのは、リスクを避ける人だった、ということだろうか。

 日本人がリスクを嫌う傾向が強いということそれ自体に、何かを言うつもりはない。本稿は、預金もリスク資産であると指摘するものだ。

 ちなみに、筆者が預金をリスク資産と呼ぶのは、銀行が破綻する可能性を論じているのではない。厳密な説明は避けるが、概要としては1000万円までの預金は預金保険制度によって守られるので、庶民は、銀行が破綻しても損はしない。

 一方で日銀は、インフレ率2%を目指している。成功するか否かはわからないが、仮にもし成功しなくても、インフレ率1%が30年続くとすれば、その間はゼロ金利政策で銀行預金の金利は限りなくゼロに近いままであり、預金は約30%目減りすることになる。

 インフレ率と銀行預金の金利が等しければ問題ないが、2%以下のインフレ率であれば金利はゼロのままなので、銀行預金は目減りし続けることになる。

「これまで何十年もデフレが続いていたのだから、これからも物価は上がらない」と考える読者も多いかもしれないが、その考え方は危険だ。氷に熱を加えていくと、ある時から急に温度が上がり始める。氷が融け終わった時点である。同様のことが物価でも起きかねない。