夫がサラリーマンでなければもちろんだが、夫がサラリーマンであっても、パートで働く妻は厚生年金に加入すべきである。(経済評論家 塚崎公義)
「1号」は2号でも3号でもない人
パートでも厚生年金に加入できる
年金制度は複雑である。前回の拙稿『「130万円の壁」だけではなかった主婦の年金保険料支払い義務』で、自営業者の妻がパート労働者であるならば、可能な限り厚生年金に加入すべきことを記したが、今回はサラリーマンの妻についても、厚生年金に入るべきと筆者が考える理由について記したい。当然であるが、妻がサラリーウーマンで夫がパート労働者である場合についても全く同様である。
まずは制度の概要の復習である。知っている人は飛ばしていただきたい。日本の年金制度は「3階建て」である。1階部分は全員が加入する国民年金、2階部分はサラリーマンなどが加入する厚生年金、3階部分は私的年金であり、各自が自由意思で加入する各種年金である。
公的年金制度は、加入者を3つのグループに分けて管理している。1号は、2号でも3号でもない人であり、自営業者らである。2号は、サラリーマン(サラリーウーマンや公務員などを含む、以下同様)であり、厚生年金に加入する。3号はサラリーマンの専業主婦(サラリーウーマンの専業主夫を含む、以下同様)である。
1号は自分で国民年金保険料を支払う必要がある。保険料は年間約20万円だ。サラリーマンは原則として2号であって厚生年金に加入する。年金保険料は年収の18.3%であるが、勤務先との折半なので、自己負担は年収の9%強である。
パート労働者も、一定の条件を満たすと2号となって厚生年金に加入し、厚生年金保険料を支払うことになる。その条件を詳述することは避けておくが、概略は「従業員501人以上の企業で週20時間以上働くか、それ以外の企業で週30時間以上働くこと」である。
3号は年金保険料を支払う必要がなく、かつ老後は老齢基礎年金(国民年金)が受け取れる。