――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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「シャキール・オニール、投資家」とグーグル検索すると、彼の活動内容がずらりと並ぶ。そのリストは本人の体格と同じように長大だ。近ごろ関心を向けている領域は、白紙小切手会社への助言である。
元プロバスケットボール選手のオニール氏だけではない。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がまとめた3月の集計によると、特別買収目的会社(SPAC)の投資家もしくは顧問となるスター選手やスポーツ界幹部が増えている。そのリストにはセリーナ・ウィリアムズ、ステファン・カリー、大坂なおみ、トニー・ホーク、コリン・キャパニックなどの名が連なる。スポーツ事業出版のスポーティコによると、スポーツ関連のSPACは、今年に入り設立されたものだけでも3月時点で61社あった。2019年には通年でわずか5社しかなかった。
その利点の大きさや、自身の資金への需要が限定的であることを考えれば、著名人がSPACに引きつけられるのも驚きではない。オニール氏も他のスポーツ選手と同様に、バスケットボールで築いた遺産より永続する何かを築き上げるために投資し始めたと述べている。また、米プロフットボールNFLでワイドレシーバーとして活躍するオデル・ベッカム氏も、新興企業に投資する理由として、フットボールだけで自分を定義付けたくはないためと話している。ベッカム氏は先日、IT(情報技術)専門ベンチャーキャピタルが後ろ盾となったSPACの戦略顧問になる契約を交わした。
こうした流れは、スポーツ選手が粗悪な投資話に乗せられてきた過去とは対照的だ。元スポーツ選手が投資家になると、「おい、俺の金はどこだ」という叫び声がお決まりのように聞かれる。バスケットボール界の伝説的な存在であるカリーム・アブドゥル・ジャバー氏はかつてそう語った。