国際通貨基金(IMF)が新しい世界経済見通しを発表した。そこで、経済成長と財政状況の二つの観点から、世界における日本の立ち位置を確認したい。その分析から見えてきたのは、日本の財政資金の使い方があまりに非効率だという実態だ。その証拠となるグラフをお見せしよう。(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
非常に低評価な日本の経済成長力
先進国33カ国の中で31位
国際通貨基金(IMF)が新しい世界経済見通しを発表した。
新型コロナウイルスによる危機前の2019年から26年にかけての累積の経済成長(実質国内総生産〈GDP〉増加幅)を見てみると、日本はプラス3.7%と推計されている。IMFの定義による先進国(ここでは人口100万人以上)においては31位と、非常に低い評価になっている。
日本の下にはイタリアとプエルトリコしかない。上位には、1位アイルランド(プラス25.8%)。2位イスラエル(プラス22.2%)、3位台湾(プラス21.5%)とIT先進国が並んでいる。
購買力平価ドルで比較した1人当たりGDPは、日本は1990年に先進国で11位だったが、2000年は18位、10年は19位、20年は20位とズルズルと後退。26年はチェコにも抜かれて21位になると予想されている。
財政状況はどうだろうか?次ページのグラフは、IMFの推計に基づいて一般政府債務残高の対名目GDP比を1993年と21年で比較したものだ。