働き方改革は、「指の動き方改革」から始めよう

「働き方改革により、業務の生産性を上げて時間を生み出し、新しい挑戦をしよう」

 このようなメッセージが行政や企業によって叫ばれるようになって、もう数年がたちました。テレワークの導入、ワークフローの見直し、社外勉強会への参加など、組織や個人はさまざまな改善や努力を重ねています。しかし、働く人たちが改革を実感できるような施策が運用されたケースは多くはありません。

 私は、働き方改革において最も効果的であり、真っ先に行うべき施策は、「組織のなかで最大の時間を使っている作業の効率アップを図ること」だと考えています。組織のなかで最も時間を使っている作業とはPCの操作だと言えるでしょう(ホワイトカラーの場合)。したがって、PCスキルの向上は生産性向上に大きく寄与します。

 ここまでは、どの組織や個人でも気づくことです。そして、PCスキルを向上させるためにエクセルやパワーポイントの勉強会、研修、自己啓発などを行うというのが一般的な潮流になっています。しかし、これは優先順位からすると正しい策だとは言えません。私の調査によれば、アウトルックが導入されている組織におけるアプリケーションごとの総稼働時間の長さは、次のようになっているからです。

アウトルック>エクセル>パワーポイント

 アウトルックはコミュニケーションツールであるがゆえに、新入社員から経営陣まで、幅広く使われています。よって、組織全体におけるアプリケーション別の総労働時間を見ると、アウトルックを操作している時間の長さが圧倒的に上位になるのです。

 ところが、大半のビジネスパーソンはアウトルックを自己流で使っています。「組織のなかで最も時間を割いているアウトルックは、効率的に使われているか」という問いに対する答えは「NO」ということになるでしょう。

 アウトルックの効率的な使い方のポイントは、繰り返しになりますが、終始一貫してキーボードで操作することです。「働き方改革の出発点はアウトルックにおける指の動き方改革であるべきだ」と私が考えるゆえんはここにあります。

 指の動かし方を学んでアウトルックをキーボードで操作できるようになれば、即効性ある改革が行え、大きく時間を創出でき、それがさらなる働き方改革実施に挑戦する時間投資の原資にもなり得ます。

 組織全体のアウトルックスキルの底上げを図ることは、働き方改革において極めて重要な視点であり、その出発点は「指の動き」を覚えることなのです。