脱自己流へ ありそうでなかったアウトルックスキル本

 ここまで「アウトルックスキル」という言葉を何度も使いましたが、これは読者にはなじみのない言い回しかもしれません。では、「エクセルスキル」ならどうでしょう。

 こちらは多くの人が耳にしたり目にしたことのある言葉に違いありません。さらに、データ集計をする際にエクセルの機能を活用できたり、効率よい使い方ができることを「エクセルスキルが高い」と評価するといったことも大半の人が理解しているでしょう。

「エクセルスキル」は一般的に使われている言葉なのに「アウトルックスキル」は使われていません。しかし、アウトルックが導入されている組織では、その組織全体で見るとエクセルよりアウトルックに時間をかけていることがわかっています。

 多くの人が多くの時間を割いているアウトルックについて「アウトルックスキル」という言葉が使われておらず、そもそもアウトルックのスキルには誰も注目をしていないことを私は非常に不思議に思いました。

 エクセルに効率的な使い方があるのと同じように、アウトルックにも効率的な使い方、便利な機能があるはずです。こう考えた私はアウトルックについて勉強を始めました。しかし、インターネットはおろか書籍も含めて、アウトルックの効率的な使い方をまとめた文献はほとんど存在しないという壁にぶつかりました。

「ノウハウがないものは自分で作ればよい」。根っからの理系人間であり、興味があるものに突っ走るタチである私はアウトルックの研究に没頭しました。これは、主に組織内の個人のアウトルックの操作のクセや傾向、アウトルックを使うシーンなどを定性と定量の両面から分析し、課題を抽出して解決策を探るというものでした。

 本書では、その研究の内容や課題の解決策を公開しています。アウトルックの機能や特性をこのような面から捉えて解説するという意味では、日本初のアウトルックスキル本だと言っていいのかもしれません。また、この本で「アウトルックスキル」という言葉をあえて発信することにより、組織や個人で自己流になっているアウトルックの使い方についての課題意識を顕在化させ、結果的に日本全体の生産性向上に寄与したいと思っています。