効果を実感した治療薬と
ガイドラインの現状

――母の容体が悪くなっていったとき、自分に使用しているレムデシビルを母の重症化阻止に「使ってほしい」と思いました。命に関わる高齢者には適用を見直すことはできないでしょうか。

B教授 はい。早期の利用で重症化を防げる可能性はあるかと思いますが、コロナ感染症の治療の多くに言えることですが、はっきりとしたエビデンス(科学的根拠)が少なく、治療時点での治験や臨床試験での報告があったもので、国内承認された形での使用となります。今後の報告に期待が待たれるところです。

 通常の抗生剤などと違い、レムデシビルは使用方法とその基準が決まっており、厚労省に届け出をしてから使用が可能となります。

 また副作用もありますので、「リスクとベネフィット」の関係もあります。今後また報告が出てきた場合は使用基準が変更される可能性もあるかと思います。

――レムデシビルを10日間投与しても重症化懸念が払しょくできなかったとき、制限されている投与期間を「あと5日間延長できないか」と思いました。現在の「10日間上限」には根拠があるのでしょうか。

B教授 現在のところ、10日間使用しての効果が報告されております。それ以上あるいは、それ以下での使用報告で良い結果である可能性もあるかもしれませんが、残念ながらまだ十分な報告がないのが現状かと思います。

 また、さまざまな領域のお薬が使用されて、結果が良かったとの報告がありますが、これもまだ十分な使用症例がなく、ガイドラインなどに反映されていないのが現状です。

 新型コロナウイルスの標準治療について、レムデシビル含めて、WHOや米国のガイドラインにはその治療方法に相違があります。

 現状では、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」や日本感染症学会が発表している、「COVID-19に対する薬物治療の考え方」、厚労省の発表・世界の最新の論文報告をチェックして、個々の患者の治療方針を吟味・検討する方が良いかと思います。

 もちろん、各病院での感染対策室・呼吸器感染症内科などの中心としてチーム医療の方針も大切となるかと思います。