政府は3月24日、新型コロナウイルス感染拡大の第4波に備えた「大号令」を出した。これは各自治体などに向けた医療提供体制の確保に関するもので、参考にはなるものの、現場で働く医療従事者からすると、違和感を強く覚えるものだった。これでは、またしても「医療崩壊」しかねないと感じた。その理由について、新型コロナウイルス感染症の重症診療をする集中治療医として、また災害医療を学んだ救急医として解説し、提言したい。(名古屋大学大学院医学系研究科救急集中治療医学分野医局長、集中治療専門医、救急科専門医 山本尚範)
政府が「第4波」に備えて出した
「医療提供体制の整備」の大号令
政府は第4波に向けて、医療提供体制確保の大号令を出した。令和3年3月24日付の「今後の感染拡大に備えた新型コロナウイルス感染症の医療提供体制整備について」という事務連絡だ。実に42ページにわたるこの文書が各都道府県、保健所設置市、特別区宛に通知された。
国が第3波までの医療崩壊の反省を踏まえて、「今度こそは…」という気持ちで作った文書だと感じる。