「高級韓国コスメ」が
日本に根付くための課題

「韓国コスメは若者向け」という、ミドル世代の固定観念が取り払われた今、少しずつではあるが、日本に進出してきている韓国コスメがある。それが、ミドル世代向けの“高級コスメ”だ。

 しかし、日本で高級韓国コスメを根付かせることは、想像以上に困難だという。

「過去、いくつもの韓国企業が、ミドル世代向けの高級コスメを日本に進出させましたが、どれも定着はしませんでした。われわれBONOTOX Japanも、韓国から日本のミドル世代へ向けた高級コスメの開発・販売を行っていますが、一筋縄ではいきません」(岸氏)

 岸氏によれば、日本で定着が難しい理由はおそらく二つあるという。

 一つ目は、日本では「韓国コスメ=若者向けのプチプラコスメ」というイメージが強烈であるということ。

 そして二つ目は、製品が日本人向けに現地化できていないことだ。

「韓国コスメは、当然ながら韓国の湿度や水質といった環境、それから、韓国人が好む付け心地や、韓国人の肌色を考慮して作られています。そのため、何も手を加えずに日本で売り出しても、日本人との相性がそれほど良くはないのです」(岸氏)

 これらの課題を乗り越えるべく、岸氏は「『韓国コスメ』としてPRしていかないこと」を、改善法の一つとして挙げる。

「日本での『韓国コスメ=若者向け』のイメージを変えることは難しいので、当社では『韓国コスメ』としての露出は控えめにしています。日本のミドル層のお客様が求めているのは、『トレンドの韓国コスメ』ではなく、丁寧に作られていて、本当に効果が実感できる良質な製品です。韓国コスメであろうとなかろうと、質が高く、そして日本人でも使いやすいコスメであれば、ミドル層は手に取ってくださいますから」(岸氏)