美容クリームが10万円を超えるような超高級化粧品市場の争いが激化している。花王率いるカネボウが本格的に戦力強化。「クレ・ド・ポー ボーテ」の資生堂、「コスメデコルテ」のコーセーなど日本勢も対抗する。超高級化粧品のグローバルな戦いの背景には何があるのか。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)
欧州で育てた超高級化粧品ブランドを
満を持してアジアへ送り込む花王
「交通整理をしてブランドを磨く」――。自信を込めてこう切り出したのは、花王で化粧品部門事業のトップを務める村上由泰執行役員・カネボウ化粧品(以下、カネボウ)社長だ。
超高級化粧品市場に出遅れていた花王が、いよいよ本格的なテコ入れに乗り出す。
和のテイストを前面に出したスキンケアブランド「SENSAI」は、6月17日、化粧品のイメージとは程遠い観世能楽堂で発表された。SENSAIは花王のスキンケアブランドではもっとも高級で、美容クリーム「センサイ UTM ザ クリームs」は1個5万8500円、中核となるASシリーズは化粧水、乳液、クリームすべて1万8000円と高価だ。昨年11月には「KANEBO」というブランドの中の最高級ラインとして、「カネボウ ザ エクセプショナル」を発売開始、「カネボウ ザ クリーム」という12万円の美容クリームの販売を始めたところだ。
SENSAIは同社の子会社・カネボウの擁するスキンケアのハイプレステージ(一般的には商品単価が1万円以上のブランド)ラインとして欧州で販売されていたが、これを日本に逆輸入した格好だ。日本では今年9月より発売、さらに中国へも2020年に発売が開始される。
高価格帯の化粧品市場が拡大を続けている。富士経済の調査によると、化粧品市場全体の18年の販売額は2兆7857億円 (見込み)で、09年と比べて約20%増加。ところが高価格帯に限れば40%も伸びているのだ。