障害者と生活保護が
繰り返し叩かれる理由とは
4月4日、コラムニストの伊是名夏子さんが「JRで車いすは乗車拒否されました」と題する記事を公開し、賛否ともに大きな反響を呼んでいる。
先天性の身体障害を持ち、外出時は常に電動車椅子を必要とする伊是名さんは、新聞へのコラム連載や講演など、幅広い社会活動を行っている。結婚・出産・妊娠も諦めず、現在は夫とともに、2児の子育てに奮闘中だ。
社会の多様性や共生に関心を持つ人々の中での伊是名さんの知名度は、もともと高かった。今回のコラムと「ネット炎上」は、伊是名夏子さんの知名度をさらに否応なく高めたのではないだろうか。
「そうなんです。『それを狙ったんじゃないか』という反応が多くて、びっくりしています。全然狙ってなかったんですけど」(伊是名さん)
とはいえ、伊是名さんは社民党の常任幹事でもある。注目されるとき、何らかの政治的意図を勘繰られるのは、必然かもしれない。
筆者は、伊是名さんの一件をめぐる「ネット炎上」に、時折発生する「生活保護叩き」を重ね合わせてしまった。伊是名さんに対する激しい批判と非難は、「障害者叩き」と言い換えることも可能だろう。
しかし冷静に考えてみると、生活保護を利用していない障害者と生活保護で暮らす人々の間には、共通点はあるものの、相違点の方が多い。公共交通機関の利用やバリアフリー化は、誰もが必要に応じて利用できる現物福祉のようなものである。世帯や個人に生活費や住居費が手渡される生活保護とは、やはり決定的に異なる。それなのに、なぜ似たような「炎上」「叩き」が盛り上がってしまうのだろうか。
まずは、伊是名さんが「JRに乗車拒否された」とした出来事を検証してみたい。