綱川新社長以外の東芝の取締役会メンバーのバックグラウンドを並べると、三井住友銀行、中外製薬(長銀)、検察庁、新日本製鐵、三井物産、CVC最高顧問(日商岩井、GE、LIXIL他を歴任)、欧米の金融機関が複数、そして会計事務所出身が4名となります。このメンバーが、歴史ある日本の大企業・東芝の運命の決定権を握っています。

 東芝の選択肢の中では、CVCキャピタル・パートナーズからの買収案を受け入れる可能性は、この社長交代劇で少なくなったと考えられます。一方、今回の騒動を受けて他の欧米の巨大ファンドも東芝の買収提案に向けて動き出したといいます。そして、東芝がどの未来へ進むべきかは、株主が選んだ11名の社外出身役員の意思決定に委ねられているわけです。

「いや、1人社内出身がいるじゃないか」とはいっても、1対11ですから多勢に無勢です、念のため。

会社の「切り売り」で
消えてしまった東芝関係者

 このような状況になってしまったのは、もともとは東芝の自己責任だったと思います。2006年に東芝の当時の経営陣が、アメリカの原子力大手(株主はイギリス)であるウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー(WEC)を買収します。当時は地球温暖化対策として、原子力事業は成長領域だと認識されていていたので、買収当時からいろいろと課題は指摘されていたものの、必ずしも間違った投資だったとはいえない経営判断だったかもしれません。

 しかし現実には、2011年の東日本大震災で福島の原発事故が起き、その後原子力事業は世界的に低迷します。そして2015年にWECの巨額減損処理が発生して、東芝は債務超過状態に陥ります。

 そこで、東芝を存続させるために「会社の切り売り」が始まります。経営の柱だった半導体メモリ事業はファンドに売却されてキオクシアホールディングスと名前を変え、黒字の優良企業だった東芝メディカルもキヤノンに売却されます。それ以外にもノートPCの『ダイナブック』や薄型テレビの『REGZA』もグループを去りました。

 さらに東芝が失ったものとして、日本を代表するエンタテインメント会社だった東芝EMIや独占スポンサーだったテレビアニメ『サザエさん』も忘れてはいけないと思います。