コロナ禍で一時沈静化したM&A(企業の合併・買収)が再び活発化している。企業の変革や業界再編を見据えた動きが加速する中、日本にこれまでなかったM&Aの手法や課題も浮き彫りになりつつある。3月29日(月)から4月5日(月)までの全8回連載『暗闘 企業買収の新常識』で、企業買収というゲームの水面下で暗闘を繰り広げるキープレーヤーたちの姿を追い、この国の資本市場の今を描く。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
#1 3月29日(月)配信
日本製鉄が仕掛けたTOBの真意、経団連企業も「敵対」辞さない弱肉強食の時代へ
日本製鉄が東京製綱への出資比率を19.9%に高めたTOB(株式公開買い付け)は、驚きをもって市場関係者に受け止められた。東京製綱の反対を押し切ってTOBを強行した真意に臆測が飛び交うが、いずれにせよ日本製鉄のような名門でさえ敵対的TOBも辞さない弱肉強食の時代に、日本の資本市場が突入したことを意味する。
#2 3月30日(火)配信
東芝社長の「首取り」に王手、企業を追い詰めるアクティビストの「超」戦術
東芝の臨時株主総会でアクティビスト(物言う株主)の提案が可決されたことを受け、第三者の弁護士による内部調査が始まった。焦点となるのは2020年の総会運営の適正性で、社長兼CEO(最高経営責任者)の車谷暢昭氏は窮地に追い込まれている。アクティビスト側の真の狙いは一体何か――。
#3 3月31日(水)配信
ニチイ学館の買収価格は安過ぎる!金融界の「不都合な真実」を暴く裁判の行方
その買収価格は安過ぎる!介護大手のニチイ学館が昨年8月に実施したMBO(経営陣が参加する買収)を巡り、少数株主だった香港の投資ファンドが公正価格の決定を求めて東京地方裁判所に申し立てを行った。すでにMBOは成立しているが、訴訟の行方次第では日本におけるMBOの「不都合な真実」が暴露されるパンドラの箱となるかもしれない。
#4 4月1日(木)配信
中国企業が「象印」ら日本の老舗企業に照準!最新したたか提携戦略を解剖
象印マホービンが、中国家電大手のギャランツと新商品開発で業務提携した。三洋電機や東芝の白物家電など、業績不振に陥った日本のメーカーが中国企業の買収ターゲットとなったケースは多々あるが、今回の提携には、より洗練された中国企業の「新常識」パートナーシップ戦略が垣間見える。
#5 4月2日(金)配信
上場目前!M&A総合研究所が開発「安くて早い」マッチングAIの破壊力
中小企業の売買を仲介するM&A市場が活況だ。2025年には中小企業経営者の3人に2人が70歳を超え、約60万社が黒字倒産の危機にあるとされる。人の手による旧来型のM&Aマッチングでは到底間に合わない。そこで人工知能(AI)やデジタルを駆使した、新たな仲介サービスに注目が集まっている。
#6 4月3日(土)配信
「敵対的買収を恐れるな!」ゴールドマン・サックス出身のM&Aマスターが直言
ゴールドマン・サックス出身で『ゴールドマン・サックスM&A戦記』などの著書がある服部暢達氏は、日本企業で増加傾向の敵対的買収について「非効率な経営者に退場してもらうメカニズムの一つとして必要」との見方を示す。「強引」「横暴」などと批判されがちな敵対的買収は日本企業に根付くのか。服部氏に聞いた。
#7 4月4日(日)配信
ニチイ学館MBOが裁判沙汰になる「おかしな点」、会社法権威の東大教授に直撃
香港の投資ファンドが公正価格の決定を求めて裁判所に申し立てを行ったことで「事件」と化したニチイ学館のMBO(経営陣が参加する買収)。国のMBO指針作成に携わった田中亘・東京大学社会科学研究所教授に、数々の「おかしな点」について見解を聞いた。
#8 4月5日(月)配信
渦中の東芝取締役会・永山議長が初激白!「総会結果は真摯に受け止める」
東芝で取締役会議長や指名委員会委員長を務める永山治氏が、臨時株主総会後に初めてメディアの書面インタビューに応じた。取締役会が反対決議したアクティビストの株主提案が総会で可決されたことについて、永山氏は「真摯に受け止めている」と述べ、議長としての「責務」や次期取締役会構成への考え方について詳細に語った。
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