K2 8611メートル北陵白川義員《K2 8611メートル北陵、パキスタン・中国》 提供:東京都写真美術館

「白川義員写真展/天地創造」が東京都写真美術館で5月9日まで開催されている。1935年生まれの白川氏は、2021年1月に86歳を迎えた。昨年2月に写真集『天地創造』が小学館から出版され、写真展も準備されていたようだが、東京ではコロナ禍のため今まで延期されていた。本写真展(写真集)で、半世紀を超えるシリーズ12作の最終章に至ったという。一見して絶句し、気絶しそうになるであろう「白川義員写真展」を見に行った。(ダイヤモンド社論説委員 坪井賢一)

驚愕の情景が並ぶ
シリーズ12作の最終章「天地創造」

 東京都写真美術館の「白川義員写真展」は2期に分けて開催された。

 第1期「永遠の日本」は、日本列島の自然を圧倒的な画力(写力)で描写した展覧会だった(2021年2月27日~4月4日)。

 今回の「天地創造」は第2期に当たり、2021年4月6日に始まった。新型コロナウイルス変異株の前触れにおびえながら恵比寿の東京都写真美術館へ向かった。

 生命史の根源から浮上するウイルスの猛威の中、白川氏の写真を見るのは自然界を前にして狭小な人間の存在に悲しさを覚えるだろうと予測していた。

 展示室に入ると、「どうしてこのような色が」と驚愕する赤い情景が並ぶ。いろいろな赤だが、着色ではなく、夕日や朝日に浮かぶ山河の色彩をカメラのレンズがとらえるとこうなるのだろうが、本当に見たことのない情景である。人間存在の悲しさは忘れ、驚愕の展示室を回った。