熾烈な学区競争、マンションに希少価値

 いまや、学歴社会となった中国では、重点学校への進学をめぐり、熾烈な受験戦争が繰り広げられている。幼稚園児でさえ、受験戦争に巻き込まれるようになった。

 こうした現象を減少するため、1986年に中国政府は『義務教育法』を改正、従来の重点小学校制度を廃止し、「就近入学」といわれる学区制度を導入した。それに伴って、小学校から中学校への入学試験制度も廃止した。

 当時、住宅は政府の配分による時代だったため、移住は個人の意思で自由にできなかった。なので、学区制度はそれなりに受験戦争を抑える効果を発揮したと思う。

 しかし、1990年代から住宅は政府から配分される物資から、個人で購入できる商品に変わった。住宅に関する呼び方からもその変化をはっきりと読み取ることができる。「公房」(公的住宅)や「工房」(国営企業の従業員に提供する労働者住宅)から、「商品房」(新築分譲住宅)へと変わったのだ。

 人々は移住の自由を得たことで、重点学校のエリアに住もうという市場ニーズが生まれ、「学区房」(希望の学区にある住宅)という固有名詞も誕生した。しかし、重点学校に入学したい希望者の多さに対して、市場に流通する学区房は少なすぎる。その希少価値もあって、学区房の販売価格はウナギ上りに上昇したのだ。

 たとえば、2020年、上海の新築分譲住宅の成約平均価格は1平方メートル当たり5万5994元(約93万円)で、前年同期比2.5%上昇した。一方、9年間一貫制の学校が複数ある浦東新区大三林地区の新築分譲住宅の平均価格は1平方メートル当たり9万9359元(約165万円)で、前年同期比17.7%上昇した。

 梅園新村エリアとわずかに隔たっている乳山エリアは、いわゆる学区房ではないため、中古住宅の登録価格は1平方メートル当たり10万元(約166万円)未満である。ところが、梅園エリアの現在の登録価格は1平方メートル当たり15万元(約249万円)前後が多く、最高21万元(約349万円)に達する。つまり、学区房と非学区房では、同じ面積の住居でも売価には大きな差が出てくる。その差は家の向きやアクセスなどの諸条件により200万〜500万元(約3320万円~8300万円)に達してしまうこともあるのだ。

*1元=16.6円として換算(2021年4月22日現在)