おもしろ雑学 世界地図のすごい読み方
「地上の楽園」といわれる美しいカシミール地方は、印パ対立の火薬庫でもある Photo:PIXTA

地政学が一大ブームだが、そのベースとして必要なのは「世界地図を読む力」、すなわち各国の文化や歴史、政治経済や社会情勢に関する深い地理的知識に他ならない。本連載では、話題の新刊書『おもしろ雑学 世界地図のすごい読み方』からの抜粋で、日本人があまり知らない世界各地の意外な実情をわかりやすく紹介する。今回は、第二次世界大戦後の独立が、その後の紛争へとつながっていった南アジア諸国の歴史背景について。

バングラデシュは
「パキスタンの飛び地」だった

 イスラム教徒(ムスリム)の結びつきは非常に強いが、一度燃え上がった対立の炎はなかなか消せない――。バングラデシュという国の歴史を知ると、そのことを思い知らされる。

 かつてインド大陸一帯(現在のインド・パキスタン・バングラデシュ・ネパール・スリランカなど)は、「英領インド」としてイギリスの支配下に置かれていた。ただし同じイギリスの植民地といっても、宗教はバラバラ。現在のインドにはヒンドゥー教徒が多く、北西部と北東部にはムスリムが多く、スリランカには仏教徒が多い……といった具合に、宗教分布は複雑に入り組んでいた。

 そのため1947年にイギリスから独立する際、宗教ごとに国がつくられることになった。つまり、ヒンドゥー教徒の国であるインド連邦(現在のインド共和国)、ムスリムの国であるパキスタンという形で独立することになったのである。

 このときパキスタンは、インドを隔てて東西2地域に分かれていた。東は「東パキスタン」、西は「西パキスタン」といい、地理的には離れているが、2地域でひとつの国を成していた。これがムスリムの結束力の強さである。

 しかし、東西パキスタン格差が原因でうまく機能せず、20年ほどで分離してしまう。