テレワークで人を育てるには、「2つの感」と「3つのパターン」が大事テレワーク環境で人材を育てるために大切なこととは? Photo:Unsplash

テレワークを始めて、そろそろ1年が過ぎようとしている企業も多いのではないでしょうか。この1年間で企業のトップから多く聞くのは、「やっぱりテレワークでは人は育たない」という声です。確かに“一括採用→新人研修→現場配属”という従来の流れをそのままオンラインで実施しただけでは、うまくいかないこともあるでしょう。テレワークで人を育てるには、これまでとは違うポイントに気を配る必要があるのです。今回は、テレワークで部下を育てるために意識してほしい、2つの“自己○○感”と、割り振る仕事の3つのパターンをお伝えします。(カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役・代表講師、産業カウンセラー 片桐あい)

自己効力感=部下が「できる」と前向きに思える力

 人を育てるとき、キーワードの一つとなるのが「自己効力感」です。これはあまり一般的な言葉ではありません。似たような言葉でよく使われているのは「自己肯定感」でしょう。しかし、私は自己肯定感というものは、仕事をする上ではあまり意味がないと思っています。なぜなら、自己肯定感は常にある一定のレベルを保つものではなく、状況によって上がったり下がったりするからです。

 自己効力感とは、自分のなかで「できる」あるいは「できるかもしれない」と前向きに思うことです。あくまでも自分自身の内側から湧いてくる力で、ほかの人がどう思うかは関係がありません。自己肯定感とは違って、あるときには強く感じ、またあるときにはあまり感じないといったことはなく、常に心のなかに強く存在します。

 自己効力感を持つと、自分が「できる」と思う事態になると貢献したくなり、「私に任せてください」と手が挙がるようになります。自分の強みとして自覚して、積極的にチャレンジする気持ちが湧いてくるのです。

 自己効力感はさまざまなことを経験し、的確なフィードバックをされるなかで育てられていきます。同じような業務ばかり回されて、チャンスはほとんど与えられず、うまくいっても褒められず、できなかったときには「だめだ」と言われ続ければ、自己効力感はまったく育っていきません。

 上司としては、チャンスやチャレンジの場を意識して提供するとともに、部下ができたことを評価するなど、公平なフィードバックを心がけましょう。こうした職場環境では、自己効力感は自然に育っていくものです。