会社も役所も、お金について通り一遍のことは教えてくれても、“あなた自身”がどう決断すれば一番トクになるのかまでは、教えてくれません。税や社会保険制度の仕組みは、知らない人が損をするようにできています。長くサラリーマン生活を続けていると、税金も社会保険料も会社任せで、自分が何をどれだけ払っているのか意識していない方がほとんどです。また、税や社会保険の基本的な制度や仕組みに関する知識が危うい人も!
定年前後に気を付けるべき「落とし穴」や、知っているとトクする「裏ワザ」を紹介し、現在5刷ヒット中の話題の書「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」、の著者である板倉京先生(下記M)に、お金オンチの担当Iが、いまさら恥ずかしくて聞けない「基本のキ」を聞いた部分を本書から抜粋して紹介します。

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社会保険料って、何にかかるのか、知ってる?

M(板倉京先生・以下同)社会保険料って、実は震えるほど高いのに、あまり気にしてないサラリーマンが多いですね。

I(編集担当・以下同):仕組みが税金以上にややこしそうで……。

M:確かに、税金より複雑でわかりにくいので、簡単に説明しますね。

まずサラリーマンが払っている社会保険料は

①健康保険料(40歳以上は介護保険料含む)
②厚生年金保険料
③雇用保険料

の3つです。

健康保険料と介護保険料を支払うことで、健康保険や介護保険が使えますし、厚生年金保険料を支払うことで、老齢基礎年金と老齢厚生年金が受給できます。また雇用保険料を払っていると失業手当や様々な給付金をもらえます。

I:それぞれ、いったいどのくらい払っているんですか?

M:①は加入している健康保険によって料率が違うのですが、協会けんぽ(東京都)の40歳以上を例にとると、報酬の11・66%。②が一律、報酬の18・3%です。合わせると報酬の30%近くになりますが、これを事業主と個人で折半して払うので、個人負担分は①②合わせて15%くらいです。

I:③の雇用保険料は?

M:雇用保険料は、業種によって違いますが基本、報酬の0・9%。それを、事業主と個人が2:1で払うので、個人負担は0・3%程度と健康保険や年金に比べて激安です。

社会保険料の負担は重い

I:社会保険料は、税金と違って、報酬全体にかかるんだ! 税金みたいにいろいろ「控除」された後の所得にかかるわけじゃないんですね!

M:そうなんです! だから負担が重いし、しかも税金みたいに累進でもなく一律にかかる。年収500万円くらいで料率が15%だと、年間約75万円も払ってます。

I:ちなみに、年収ベースですか?

M:いえ、正確には「標準報酬月額」がベースになります。「標準報酬月額」は、4、5、6月の3ヵ月間の報酬(給与・手当・通勤費)の平均額を、区切りの良い幅で区分したもの。だから4月から6月に残業して報酬が多くなると、年収が変わらなくても社会保険料が上がることもあるんですよ。

I:新年度だからと、はりきって働きすぎないようにしないと!

定年後も健康保険・介護保険料は払う

I:会社を辞めても、これらは支払うんですか?

M:①の健康保険&介護保険料については、本書でも詳しく説明していますが、誰かの扶養に入らない限りは、社保か国保などの違いはあっても基本的には、死ぬまで支払い続けます。

I:ひえ─。

M:②の厚生年金保険料は、厚生年金を通じて国民年金も払っているという二階建構造です。60歳前で会社を辞めた場合は、60歳になるまで国民年金のみ自分で支払います。会社に勤めている間は70歳まで厚生年金を払い続けます。③の雇用保険料は、会社を辞めたら払わなくてOKです。

社会保険料、モトは取れるの?

I:しかし、これだけ、払っていてモトは取れるんでしょうか?

M:雇用保険は、安いわりに失業給付などの額が大きいので、給付をもらえばモトが取れるでしょうね。他はどうでしょうか。

I:年金は受給年齢もどんどん後ろ倒し。

M:国民年金部分は老齢基礎年金、厚生年金部分は老齢厚生年金として受け取りますが、どちらも原則65歳からです。

I:健康保険や介護保険はどうですか?

M:医療費の自己負担は、0~6歳までが2割、6~70歳が3割、70~74歳が2~3割、75歳以降が1または3割、介護保険は、1~3割です。

I:自己負担率に1~3割などの幅があるのはなぜですか?

M:それは、収入によって自己負担率が変わるから。だから、年金をたくさんもらいすぎると、払う保険料も増える上に、医療費や介護保険の自己負担額も増える可能性があることは覚えておいたほうがいいですね。

I:社会保険料、地味におそろしいですね。控除もないから節税的なこともできにくい。

M:そうですね、社保の裏ワザは「扶養」を駆使するくらいですかね……。

I:扶養を駆使!ぜひ教えてください!(次回に続く)

*健康保険の料率などは、本書が出版された2020年10月時点のものです。