何歳までこの会社で働くのか? 退職金はどうもらうのか? 定年後も会社員として働くか、独立して働くか? 年金を何歳から受け取るか? 住まいはどうするのか? 定年が見えてくるに従い、自分で決断しないといけないことが増えてきます。
会社も役所も通り一遍のことは教えてくれても、“あなた自身”がどう決断すれば一番トクになるのかまでは、教えてくれません。税や社会保険制度の仕組みは、知らない人が損をするようにできています。
定年前後に気を付けるべき「落とし穴」や、知っているとトクする「裏ワザ」を紹介したシニアマネーコンサルタント・税理士の板倉京先生の話題の著書「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」から、一部を抜粋して紹介します。本書の裏ワザを実行するのとしないのとでは、総額1000万円以上も「手取り」が変わってくることも!

定年後、働きすぎると、「手取り」が下がる?「働き損」にならないためのポイント給与の差が手取りの差になるわけではない。

60歳以降は、働けば働くほど手取りが高くなるわけではない

 定年後も会社員として働く方もいらっしゃると思います。その時に気を付けたいのは、60歳以降は必ずしも「給与が高い=手取りが高い」にはならないということです。給与の額が低いともらえる給付金があったり、逆に給与が高いと年金が減らされたり、様々な落とし穴があるからです。

 具体的に実感していただくために、たとえば昭和35年5月生まれの男性AさんとBさんで比較してみましょう(年齢や性別の設定により変わってきます)。上の表を見てください。

Aさんは再雇用後、少しゆとりを持ちたいと週4日勤務を選択し、月給は26万円。Bさんは週5日のフルタイム勤務で36万円です。2人とも60歳時点の月給は50万円でした。特別支給の老齢厚生年金(本書を参照)は月10万円支給予定です。

 給与が月額10万円違う2人ですが、60~63歳までの毎月の手取りの差額は3万6000円ほどです。しかも、特別支給の老齢厚生年金の受給が始まる64歳では、手取りの差額はたった2100円になってしまいます。

 Aさんは、給与以外に受け取る給付金や年金を、5年間で約287万円も受け取れますが、Bさんが受け取れるのは、5年間でたった12万円です。

 理由は、2つ。「高年齢雇用継続基本給付金」と「特別支給の老齢厚生年金」です。

 この事例に限らず、60歳以降の手取りは、様々な制度の利用の仕方や、節税対策などによって変わってきます。60歳以降の手取りを決定するのは「お金の知識」があるかないかです。本書では、他にも、知らないと損をする様々な制度や裏ワザを、分かりやすく説明しています。ぜひご参考にしてください。