電子書籍市場が拡大
売り上げの8割は「コミック」
電子書籍の売り上げが好調だ。1995年の登場以来、右肩上がりで業績を伸ばし、2019年度には売り上げ3750億円を記録。その8割は漫画(コミック)である。コミックは電子書籍の主力コンテンツとして、市場拡大に大きく貢献している(インプレス総合研究所 電子書籍ビジネス調査報告書2020より)。
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数ある電子コミックサイトの中で、市場をけん引しているのが、業界大手の「まんが王国」。黎明期だった2006年に電子コミックサイトをいち早く立ち上げ、現在、国内最大級の電子コミックサイトの位置を占めている。昨年7月までに累計14億冊のダウンロード実績を持ち、450万人が会員登録する人気サイトである。
なぜ「まんが王国」が読者に選ばれるのだろうか? その理由を運営元のビーグリーに取材してみた。
「まんが王国が会員を増やしている理由は、二つあると考えています。まずは、他のサイトにはない『お得感』です。コミックを読む際、(読者は)まず課金してポイントを取得します。それを使って購読した読者へ、(まんが王国が)常時最大50%のポイントを還元しています。つまり半額が戻るのです。さらに、無料で読めるコミックが約3000作品もそろっています。二つ目はAIを駆使して読者が読みたいものを見つけやすいUX(ユーザー体験)になっており、好きなジャンルのコミックを簡単に探せる仕組みになっている点です」(ビーグリー代表取締役社長・吉田仁平さん、以下同)
同社は漫画を仕入れる際に、取り次ぎなどの中間業者を通さないため、マージンが不要。他社のように代理店を通して広告を出稿するのではなく、自社で直接出しているので収益性が高い。こういった工夫の結果、読者への50%ポイント還元が可能なのだ。
さらに、まんが王国連載中の作品は同サービスでの先行配信となっており、コンテンツによる他社との差別化にも取り組んでいる。