米中“新冷戦”のもとで、アジアは中国の海洋進出や香港、台湾問題などで米中が激しく対立する主戦場になりつつある。そのなかで新たな不安定要因が、中国が2月に施行した中国海警法だ。これは、中央軍事員会の傘下の海警局に法執行と国防の両方を担わせ、武器使用などの権限を与えたものだ。尖閣諸島領海内に連続して艦艇を侵入させるなど、中国の東シナ海への進出が加速するなかで、海警法の施行はどういう意味を持つのか、日本はどう対応すべきなのか――。森本敏・元防衛相インタビュー(下)では、「海警法問題の本質」を聞いた。森本元防衛相は、「中国海警法は第一列島線内に日米を接近させないことが狙い」だと言い、「日本は中国との尖閣での衝突を台湾侵攻の口実にさせないように対応することが重要」と言う。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 西井泰之)
海警法は国防法改正とセット
日米を接近させないことが狙い
――尖閣諸島周辺でも、中国艦船の領海侵入が急増しています。こうした状況で中国の海警法の施行をどう受け止めていますか。