中谷元元防衛相Photo by Toshiaki Usami

北朝鮮からのミサイル攻撃に対応する「イージス・アショア(陸上配備型迎撃ミサイルシステム)」配備計画の撤廃を機に、新たな国家安全保障戦略(NSS)の議論が今夏から始まる。配備撤廃の理由は、推進装置(ブースター)の改修に巨額の費用がかかることが挙げられているが、中谷元・元防衛相は「背景には北朝鮮のミサイル技術の飛躍的向上や米国の有償軍事援助(FMS)による装備の購入が急増し、依存が深まる一方で、防衛産業の弱体化が進んでいる問題がある」と語る。新たなミサイル防衛はどうするのか。米中「新冷戦」や宇宙、サイバーにも領域が広がる安全保障の課題を聞いた。(ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)

北朝鮮のミサイル技術格段に進歩
守り切れないのはわかっていた

――唐突な形でのイージス・アショアの配備撤廃をどう受け止めましたか。

 河野(防衛相)さんはよく決断したと思う。

 直接の理由は、迎撃ミサイルを打ち上げた際に切り離すブースターを陸上自衛隊の演習場(山口県)内に落下させると、地元に説明していたのがそれが難しくなったということだった。