経済的に自立して早期リタイアを果たす「FIRE」を目指し、株式投資を始める個人投資家が増えている。その多くの投資対象は日本株だが、じつは米国株こそFIREへの近道だ。米国株は日本株より手堅い。某大手金融機関に勤めていた著者は、40歳で早期リタイアを考え始め、2020年に資産1億円達成を計画。計画を前倒しで2019年に目標達成、51歳で早期リタイアを実現した。
初の著書『【エル式】 米国株投資で1億円』では、早期リタイアの大きな原動力となった米国株の投資術を全公開。これまでの投資歴や投資銘柄、今さら聞けない米国株投資の基礎の基礎から、年代や目的別の具体的な投資指南、最強の投資先10銘柄に至るまで、“初心者以上マニア未満”の全個人投資家に役立つ情報を徹底指南する。
(こちらは2021年2月10日付け記事を再掲載したものです)

リタイアPhoto: Adobe Stock

片道切符で本社には戻って来られない

私がセミリタイアを考え始めたのは、40歳以降、そのまま会社に勤めても明るい未来が待っているとは思えなくなったからでした。

20代ならいくらでも夢は描けますが、40歳前後になると、会社における自分の立ち位置がわかってくるものです。

会社の定年は60歳でしたが、金融機関では50歳前後から第一線を退き始めます。

出世レースを勝ち抜いて役員になる一握りの同期を除くと、本社からグループ企業や取引先などへの出向が増えてくるのです。

それまではキャリア形成の一環としての異動・転籍だったものが、片道切符で本社には戻って来られないケースが大半となります。

まさにテレビドラマ『半沢直樹』の世界です。

しかも、1週間前になって突如として出向を命じられることも多々あります。

拒否することはできますが、拒否すればするほど、次に提案される条件は悪くなるばかりです。

55歳からは「役職定年」となって役職を解かれますから、運よく本社に居残れたとしても、以前の部下の下で働くことを余儀なくされます。

それが平気な人もいるでしょうが、私はあまりいい気分がしないだろうと想像しました。

他に何も手段がないと、残されたサラリーマン人生はお先真っ暗で絶望しそうですが、私にはセミリタイアを叶えてくれそうな「米国株投資」という頼れる武器がありました。